実は旧盆の意味を正確に答えられる人って、案外少なかったりするんですよね。
なんというか、いろいろゴッチャになりやすい事情がそこに渦巻いてしまっているのです!
そこで、今回はそんな事情を持つに至った経緯から丁寧に紐解いていきます。
これによって旧盆の意味が分かるだけでなく、お盆について詳しくなれます^^
さらに、そのややこしさの中に日本文化の面白い部分も発見できますよ♪
明治に変わった暦とは?
お盆の時期が複雑になったのは、明治に行われた改暦に原因があります。
この改暦は1872年(明治5年)11月に発表され、本来なら明治5年12月3日だったのが、新暦により1873年(明治6年)1月1日になりました。
そして、この改暦が今までの改暦とは違う点が、暦の種類が変わってしまった点にあります!
つまり、旧暦が太陽太陰暦であったのに対し、新暦では太陽暦を採用したのです。
太陽太陰暦は月の満ち欠けを元にして日数を数える暦です。しかし、月が地球を1周する平均は約29.5日で、1周するのを1月とすると1年が約354日になります。
したがって、地球が太陽の周りを一周する期間をもとにした1年である365日に比べて、11日程度短くなってしまうのです。しかし、これでは季節がずれていってしまうので、約3年に1回閏月を設けます。
そのため、太陽太陰暦では約3年に一度、1年が13ヶ月になる年があるのです!
要するに太陽太陰暦は月の満ち欠けをもとに日数を数え、太陽の運行を考慮して補正した暦になります。
ちなみに、純粋に月の満ち欠けのみで日数を数える暦は太陰暦です♪
対して、太陽暦は暦を地球が太陽の周りを回る周期を元に決め、4年に1回の閏年に1日増やして補正します。
そして、この太陽暦が現在も使われている暦になります^^
4つあるお盆の時期
明治の改暦によって新暦に変わったのですが、主な違いをまとめると以下の2つです!
- 1年の始まりの日が違う
- 日数を数える天体と補正の仕方が違う
つまり、新暦と旧暦では1年の始まりが違うので1月ほどのズレが有り、さらに日数の数え方の違いなどから毎年対応する日付が異なるのです。
例えば、旧暦の1月1日は新暦の日付では年によって違い、1月19日から2月20日の間のどこかに来ます。
そして、この暦のズレがお盆のなど季節の行事の日付をややこしくしてしまったのです!
つまり、今まで通りの日付で行事を行うと、季節が合わなくなってしまったのです。例えば初穂を神に奉る新嘗祭では、稲穂の生育が不十分な時期になってしまいました…
そこで考え出されたのが、月遅れという方法です♪
ようは、今更旧暦を使うのは面倒なので、新暦で行事と季節を合わせる便宜的に考えられた方法です。
この方法は、新暦と旧暦では平均すると1ヶ月程度のズレになることに着目し、新暦での行事の日付を1ヶ月ずらすことで旧暦とほぼ同じ時期に近づけます。
しかし、この方法は日本全国で一律に導入されたわけではなく、した所としなかった所があります。
なので、お盆の時期に関しても以下の4つのように分かれてしまいました。
- 新暦でも旧暦の日付のままお盆を行う地域(7月15日頃)
- 新暦の日付を1ヶ月遅らす月遅れのお盆を行う地域(8月15日頃)
- 旧暦を使い続けそのままの日付でお盆を行う地域(年によって大きく異なる)
- その他
そして、旧暦を元にした日付で行うお盆のことを旧盆というのです^^
また、新暦でも日付を変えなかったお盆は新のお盆、月遅れにしたお盆は月遅れのお盆とも呼ばれます。
なお、月遅れのお盆も最近では旧盆とも呼ばれたりしますが、本来は別物です!
それと、その他は極めて限定的でその地域独特の日付になります。
地域ごとのお盆の時期
3つのお盆の時期を採用している地域は、それぞれ以下のようになっています。
- 旧盆:関東北部、中国、四国、九州、南西諸島など
- 新のお盆:東京、横浜、東北地方など
- 月遅れのお盆:北海道、新潟、長野、関東南部、関西地方
- その他:東京都多摩地区の一部や岐阜県中津市付加町など
このように、地域によってバラバラなのですが、現在では月遅れの盆に行う地域が多くなっています♪
なので、8月15日頃がお盆の時期というのが全国的に広まっているのです。
また、月遅れのお盆が採用された背景には、新暦の7月は農作業の繁忙期が当たるためとされています。
しかし、それでは上手く説明しきれない地域もあり、どういった時期に行うかはその地域の事情による所が大きいです!
例えば、その他の2つの地域は8月1日にお盆を行いますが、これは養蚕の農閑期だったためです。
つまり、お盆の時期にはその地域の特色が見えると言えます^^
ややこしさの中に
お盆の時期が地域によって違うのは、明治の改暦により新暦の日付と季節がズレてしまったのが理由です。
実は、この改暦でお盆以外にも様々な行事が影響を受けてしまっています。
例えば七夕も地域によって時期が違ったりします。そんな七夕の成り立ちはこちらを読んでみてください!
この様に一口に日本文化と言っても、その内実は地域によって様々な特色があります♪
なので、ぜひ自分の住む地域と違う風習を見つけたら一度調べてみてください。
そこには、きっとそれぞれの新たな発見がありますし、より自分の地域に愛着を持てるようになれますよ^^