いわゆる江戸時代末期「幕末」について、あなたはどのくらいの知識をお持ちでしょうか?
「大政奉還があって〜、戊辰戦争があって〜、明治維新となって〜、文明開化!」
歴史の授業ではさらっとしかしませんから、このくらいの認識の人も多いんじゃないかと思います。
西洋列強の帝国主義の魔手から日本を守るために、様々な人が様々な思いで戦って数々の悲劇を生んだ時代でした。長い歴史の中でも指折りの変動期ですから、この時代を題材にした映画もたくさん作られました。
時代劇に不慣れな方にも、馴染みやすい近年の映画から4本、幕末好きな私がネタバレしない程度にご紹介したいと思います。
柘榴坂の仇討
2014年に公開された浅田次郎原作の映画です。
主演は中井貴一さん、その妻に広末涼子さん、仇討ちの敵役に阿部寛さん他、高島政広さんや中村吉右衛門さんなど渋めの豪華キャストです。
【あらすじ】
幕末の大事件「桜田門外の変」の後日談となります。
剣の腕を買われ大老井伊直弼の籠警護の任についた金吾(主人公:中井貴一)は、その事件の際に刺客を追って現場を離れ、その間に主君を殺されてしまいました。
藩からは切腹を許されず仇討ちの下命を受け、その後十三年もの間刺客を探し続けます。
その忠義と執念、奥方の苦悩、あまりに速い時代の変革に取り残される「武士」たち。
はたして金吾の仇討ちは成るのか?
なんというか、じわじわとせつなくなる映画です。
明治維新によって急激に居場所を失い、時代に取り残された武士の悲哀。
武士の妻として最後まで気丈に共に行こうとする奥方。
下町に紛れ、ひっそりと息を潜めて生きる元水戸藩士の苦悩。
どの立場で見るかで全然変わってくる幕末のお話ですが、それぞれが切ないです。
後日談なので戊辰戦争とか全然絡みませんが、これはオススメです!
長州ファイブ
2007年に公開された五十嵐匠監督脚本の青春群像劇です。
長州五傑といわれる5人の若者を松田龍平さん、山下徹大さん、北村有起哉さん、三浦アキフミさん、前田倫良さんが好演しています。
【あらすじ】
黒船来航以来、攘夷の気運の高まる幕末、建設中の英国大使館の焼き討ちを果たした長州の志士の数名は、後日、佐久間象山の薫陶を受け本当の攘夷について考えました。
日本を守るには西洋列強の技術を得る事が必要と、密かに英国に留学することを決意します。海外渡航は幕府より禁止されており、見つかれば厳罰ですが、長州藩主のから黙認と援助を得て5人の若者が大海原へと旅立ちました。
慣れない文化に戸惑いながらも先進技術に感嘆し貪欲に学ぶ5人の若者。
彼らが激動の時代にどう関わっていくのか⁉︎
まさに幕末の争乱、戊辰戦争の頃を英国で過ごしているので、幕末の長州にしてはなんとなくまったりとしたお話です。
ドロドロと私怨の渦巻いた尊王攘夷論から、戊辰戦争のお話とはちょっと違うというか、純粋に国の行く末を憂えて命を懸けた若者たちの青春のお話です。
ちょっと甘酸っぱい展開なんかもあったりします。
主役の松田龍平さんがカッコよくてカワイイですよ☆ 笑
壬生義士伝
2003年に公開された、これまた浅田次郎の小説が原作の映画です。
監督は滝田洋二郎さん、主演はまたまた中井貴一さん、主人公に絡む物騒な剣豪に佐藤浩市さん他、豪華キャストになってます。
【あらすじ】
ある冬の日に病気の孫を連れて駆け込んだ医院で年老いた斉藤(佐藤浩市)は、かつて共に戦った仲間である吉村(主人公:中井貴一)の写真をみつけました。
新選組に入隊してきた吉村は、ひどい訛りのみすぼらしい浪人でしたが、剣の腕は北辰一刀流免許皆伝の剣豪でした。歓迎会の席でヘラヘラとお国自慢をする吉村を幹部の斉藤は激しく嫌悪し、その帰り道に斬りかかってしまいます。
貧しさに耐えかねて家族のために脱藩した吉村は、命知らずの新選組隊士の中では異色の命を惜しむ侍でした。またお金に執着もしました。すべては家族の為だったのです。
そんな吉村に変わらず反発心を持つものの、その人情溢れる人柄にじわじわとほだされていた斉藤。
やがて時代は急激に流れ戊辰戦争へと突入します・・・。
このお話は原作が上下巻ある長編なんですが、そのほんの一部のお話になります。
やはり浅田先生は泣かせてくれます(´;д;`)ウッ・・
新選組の映画というと古いものが多いのですが、大抵派手な剣戟とか血生臭い感じのが多いんですけど、この映画は侍の矜持と人情と悲哀のお話なんじゃないかなーと思いました。もうね、切ないんですよ…。
ひとつだけ言えば、多くの新選組の映画などに言えますが、年齢設定がちょっとオカシイ!笑
新選組ってみんな若かったんですよ。斉藤一や沖田総司なんかは戊辰の頃は20代前半ですよ!
とはいえ、私は原作を何度も読んじゃうほど好きなお話でしたので素直に泣いちゃいました。
どうぞ泣いてみてください!
幕末高校生
2014年公開のタイムスリップ時代劇コメディです。
監督は李闘士男(りーとしお)さん、玉木宏さんや石原さとみさん、佐藤浩市さん他、バラエティーに富んだキャスティングです。
【あらすじ】
高校教師の未香子(石原さとみ)は、ある日生徒3人と共に幕末の江戸にタイムスリップしてしまいます。
不審者として捕らえられた未香子と生徒の高瀬(榎本時生)は、拷問に掛けられる寸前で勝海舟に保護されました。戊辰戦争真っ只中、薩長の大群が江戸に迫っている時でしたが、未香子は目の当たりにした状況が史実と違っている事に気付きます。
果たして未香子は生徒達と無事未来に帰れるのでしょうか!?
時代劇ファンにはあまりウケないかもしれませんが、コメディとして見ると面白いですよ。
ドタバタした感じが楽しい作品ですが、最後はしっかりシメてくれます。
歴史や時代劇な苦手な人がとっかかりやすい作品だと思いますよ。
ちょっとヘタレオヤジ役の玉木宏さんがイイです☆
激動の時代に思いをはせて
幕末の映画って結構あるかな?と思ったら、40年以上前とかの古いものが多くて、近年の物は意外と少ないんですよね。
昔のは「武士の魂」とか「凄まじい剣戟」とか、イメージ的には「武」のような所に重きを置いた雄々しい作品が多い気がします。
時代は変わり、近年のものは、その「人間」にスポットを当てたような、心情を描いた物が多いですよね^^
確かに日本が大きく変動した「幕末」。最後の侍たちは何を思い何をしていたのか。
その一端をちょっとだけ映画で感じてみませんか?