原爆は大量破壊兵器であり、使われることが二度と有ってはなりません。
しかし、その核兵器が、なぜ非人道的、あるいは倫理的に問題があるとされるか知っていますでしょうか?
今回は、本来筆舌に尽くしがたい核兵器による被害の中で、その問題点に絞り、3つに分け考えていきます。
また、これらが現代の問題にどのようなつながりを持つのかも解説します。
核兵器は必然的に無差別
「コラテラルダメージ」という言葉を聞いたことはないでしょうか?
日本語に訳すと、副次的な戦争被害、あるいは、巻き添えによる民間人の戦争被害を意味します。
例えば、テロリストの拠点を壊滅するために空爆をしたとします。
この際、一般市民にも犠牲者が出ることがあります。このような被害をコラテラルダメージと呼びます。
これは本当に仕方のないことなのかどうか議論され、現在、世界的な問題になっています。
そして、このコラテラルダメージの極致とも言えるのが核兵器です。
原爆が落とされた広島の建物への被害範囲は、2キロ圏内だと熱線と爆風で殆ど焼き尽くし破壊されました。
さらに、それ以降の範囲でも被害は甚大で、当時の広島市内の9割もの建物が壊滅的被害を受けました。
また、人的被害も甚大で、爆心地に近い1km県内では、7日間に90%の方が亡くなっています。
このような、大規模な破壊をもたらす核兵器は、ほぼ必然的に無差別に殺戮します。当然、その中には非戦闘民も含まれます。
そのため、コラテラルダメージというより、民間人への被害を前提にした兵器とも考えられます。
したがって、現在は国際的に都市への核兵器使用は戦争犯罪であるとされます。
その上、現在の核兵器は、広島の原爆よりも比べようもなく強力になっています。
無用の苦痛を与える非人道的兵器
広島で治療に当たった医師たちは、治療しても血が止まらず死んでいく、当時誰も経験したことがない症状を目撃します。このような症状は、被爆したことによる急性放射線症により引き起こされます。
症状には、他にも吐き気や吐血、頭痛、脱毛など非常にたくさんの症状があります。
この急性放射線症は、残留放射線でも引き起こり、救護にきた人や家族を探しにきた人にも発症しました。
さらに、急性障害は5ヶ月ほどで終息しましたが、放射線による影響はこれに留まりませんでした。
何年かして発症する放射線症による白血病などで亡くなる方が出てきたのです。
加えて、原爆による被害はそれだけではなく、やけどが治った後に皮膚が不規則に隆起した状態になってしまうケロイドとよばれる症状も引き起こしました。
これによって、可動部が動かしにくくなるなど身体的な障害を負うことになります。また、身体的な被害だけでなく、被爆地での経験による心的外傷ストレス障害など精神面の被害も甚大です。
原爆による被害は、極めて苛烈であり、多岐にわたり、その被害は現在においても癒えたとはいえません。そのため、原爆による被害者数は、昭和20年までで約14万人とされますが、正確なことは不明のままです。
このような被害をもたらす核兵器は、やはり無用の苦痛を与える非人道的兵器と認めざるを得ません。
この非人道的兵器に当たるかどうかの議論は、核兵器だけでなく様々な兵器で議論されています。
しかし、人道的兵器と呼べるものは本質的にありえません。
したがって、その境目は、今後とも議論され変わっていくことになるでしょう。
世代を超えて引き継がれてしまう被害
まず、妊婦のお腹の中で被爆してしまう「胎内被爆」が次世代への影響としてまず挙げられます。
胎内被爆をすると、出生後の死亡率が上がります。例え生き残っても小頭症などの障害が残ったりします。小頭症は、脳に発達遅延が起こり、知能障害を引き起こします。
また、脳以外にも発達遅延が起こり、成人前に亡くなることもあります。さらに、被爆者の子供である被爆2世や、その孫である被爆3世にも影響があると考えられています。
このように、戦争に直接関わったことがない次世代にまで影響を与えてしまうのは重大な問題です。
現代において、このような被爆の恐れがある兵器として劣化ウラン弾が挙げられます。これは、比重が重い劣化ウランを弾頭にすることで、威力を高めた弾丸です。
なお、この被爆の真偽は現在も議論されており、はっきりとした結論は出ていません。
しかし、次世代にまで影響を及ぼす可能性がある兵器が、なお使われていることは覚えておいてください。
核兵器は必要悪?
核兵器は、まず間違いなく最も非人道的で、倫理的に問題のある兵器と言えます。
しかし、現在の世界は、これを必要悪として受け入れています。例えば、核の傘と呼ばれるものです。
果たして、このままで良いのかどうか今後も議論されるでしょう。
個人的には、必要悪も悪である以上、いずれ裁かれるべきだと考えます。
あなたはどう考えますか?