正月飾りの門松や注連縄って、飾り終えた後どうするか悩んでしまいます…
そんな時に相応しい日本の伝統行事が、どんと焼きです!
今回は、そんなどんと焼きの由来と何をする行事でどんな注意点があるのかを丁寧にご紹介します♪
さらに、どんと焼きを見ていくと日本文化の不思議さや奥深さ、あるいは多様性を発見できるのです。
そして、それらを知るとより深く日本文化を味わえ、住んでいる地域の文化ももっと知りたくなりますよ!
行事の由来とは?
どんと焼きの由来とよく言われるのが、平安時代の宮中行事である三毬杖(さぎちょう)です。
この三毬杖は、杖で毬を打ち合う正月遊び使われた杖の毬杖を、束ねた青竹に3本括り付け、さらには扇子、短冊や吉書と一緒に燃やしました。さらに、陰陽師が謡い囃し、その年の運勢を占いました♪
そして、この行事が民間に伝わりどんと焼きが生まれたというのですが、そうとは言い切れません!
というのも、さらに古くから農耕儀礼などとして小正月の火祭りが行われていたからです。例えば、福岡県久留米市の鬼夜は1600年以上、奈良県御所市の茅原の大とんどは1300年以上の歴史があります。
ちなみに、三毬杖が語源とされる左義長が現在でも小正月の火祭りの名前に使われますが、直接の繋がりがあるかは分かりません。
なぜなら、どんと焼きなど小正月の火祭りが、江戸時代は風俗の乱れから、明治時代は民間信仰の弾圧から取り締まられ、その際に宮中行事であると言い張るためにそう名乗ったとされるからです。
また、三毬杖がなぜ左義長と書かれるようになったのかは謎とされます…
それではどんと焼きの大元の由来は何かと言うと、古代の中国から伝来したとする説があります。
これは、中国や韓国などユーラシア大陸の各地に新年の火祭りの風習があり、それらといくつかの類似点が見出されるためです!
例えば、韓国のタルジプ焼きでは日本と同様に書き初めが焼かれます。
ただ、やはり文献など明確な資料が少ない時代であり、あっても後の時代の場合も多く確証が持てません。
つまり現在の所、どんと焼きの由来ははっきりとしてはいないのです…
言葉の由来は?
どんと焼きには、とんど、とんど焼き、どんど、どんど焼き、どんどん焼きといった、地域によって微妙に違う呼び方があるのです!
これら一連のどんと焼きの言い方における大元の言葉の由来には、次の5つの説があります。
- 尊や(とうとや)尊(とうと)と囃し立てて燃やしたから
- どんどんと燃える様子から
- どんという爆竹のように竹が爆ぜる音から
- 古代中国を意味する唐土(とうど)から
- 歳徳神(としどくじん、とんどさん)から
この5つの内、下の3つはそれなりに説得力のある説明がなされます。
まず、竹が爆ぜる音説は文献にてどんとに爆竹が当て字に使われたりするのが証拠です。
次に、唐土説はどんと焼きに古代中国から伝来したと考えられることから言われます。
それから、歳徳神説は歳徳神をどんと焼きで祭る地域で呼ばれていることが多いのが根拠です。ちなみに、歳徳神はその年の福を司るとされる神様になります♪
ただ、どの説も決め手に欠け判然としません。また、地域によって推している説が違うのも困り所です…
多様性とは?
日本にはたくさんの小正月に行われる火祭りがあり、どんと焼き系は最も多い呼び方です。
そんな祭りには、他にも以下のものがあります。これでも全てではないのだから驚きです!
- やははいろ(東北辺り)
- さいの神(新潟、福島辺り)
- あわんとり(千葉辺り)
- 道祖神祭り(関東甲信越辺り)
- 左義長(北陸、滋賀、京都辺り)
- 鬼火焚き(九州辺り)
この様に非常に多様な祭りがあり、地域によってどんと焼きみたいに似たような呼び方の種類があります。例えば、やははいろはやははえろとも呼ばれます。
また、この様な違いが生まれたのは起源は同じでも、地域の風習や信仰などの影響を受け、それぞれ独自の発展を遂げてきたからです!
例えば関東甲信越付近に広がる道祖神祭りの道祖神は、村の守り神でその地域を守護する神様になります。また、さいの神は塞の神とも書き、村に邪悪なものが入ってくるのを塞ぐ神様で、道祖神と似た神様です。
つまり、どんと焼きで祭られる歳徳神の他にも祭られる神様がいるのです!
他にも九州の鬼火焚きは、鬼を追い払う追儺の儀式が結びついたものだと考えられています。
このように、その地域独特の名称にはそれぞれ個性的な由来があり非常に面白いのです♪
何をするの?
小正月のどんと焼きを始めとした火祭りの共通点を、ざっくりまとめると以下の4点があげられます。
- 小正月行なわれる火祭り(基本1月15日近辺ですが地域により日にちに違いが見られます)
- 地域や集落の繁栄と安寧を祈る祭り
- 火を神聖なものとし、灰やその火で焼かれた食べ物にご利益がある
- 主な燃やされるものに正月飾りや書初めがある
逆に言うと、この4つくらいしか共通点を見いだせないんですよね…
例えば、正月飾りや書き初めが燃やされるのは全国的ですが、その他にも、富山県の邑町のサイノカミでは木偶人形(デクノボー)が燃やされるなど地域独特のものがあったりします^^
さらに、焼かれる食べ物では餅が一般的ですが、みかんやスルメなど変わり種が焼かれることもあります。
また、信仰上の理由である地域では焼いてもいいけど、別のところではだめというものもあるのです。その代表例に、ダルマがあります。
それと、ダイオキシンの予防など環境を守る意味合いで燃やしていいものに制限があることも多いです!
このように地域によって様々な規則があるので、事前に何を燃やしてよいのか確認するようにしてください♪
調べてみよう!
まず、一連の小正月の火祭りが日本にはあり、その中の1つにどんと焼きがあると考えてください。
つまり、どんと焼きの別名に様々なものがあるのではなく、それぞれ独自の発展を遂げたので名前も様々になったと言えるのです。
この様に、それぞれ地域の個性がありながらいくつかの共通点で結び付きがあるというのがこの祭り文化の面白さであり魅力でもあります。
しかも、類似点を見出すことの出来る祭りが世界中にあるのです。
さらに、それらの起源は溯れば1つのところに行き着くのではとも考えられています!
なので、自分の地域の祭の個性を見出すと共に、どの様な繋がりがあるのかぜひ一度調べてみてください♪