茶道の流派は500種類以上と言われています。意外と多くてびっくりですよね!
ただやはり、有名どころ、また習いやすいところは「三千家(さんせんけ)」があげられると思います。
三千家というのは「表千家」(おもてせんけ)、「裏千家」(うらせんけ)、「武者小路千家」(むしゃのこうじせんけ)と呼ばれる茶道の主要となる3つの流派です。
この三千家は千利休の孫である千宗旦(せんのそうたん)の子どもたちが作ったものです。
茶道の流派は数多いですが、その系譜を辿ると三千家にたどり着くものが多いです。
3つに分かれるといっても、作法がおもいっきり違ったりといったことはありませんが、細かいところで色々と違います。
今回は茶道の流派、三千家の違いについて解説していきます。
作法の違い編
・歩き方の違い
まずは作法の違い編としまして、歩き方の違いについて解説していきます。
「ええっ!歩き方にも作法があるの?」と驚ろかれるかも知れませんが、茶道にはすり足や畳の縁を踏まない等のルールがあります。
そして流派によってもその動作が変わります。
表千家では茶室に入るときは「左足から」畳1枚を「6歩」で歩きます。
裏千家では茶室に入るときは「右足から」畳1枚を「4歩」で歩きます。
武者小路千家では柱側の足から1畳を6歩で歩くと定められており、右足左足という取り決めはなく茶室の造りによって変わります。
また、茶室を出るときは表千家・裏千家ともに「入る時の足と逆の足から」となっており、武者小路千家では特に決められていません。
・座り方の違い
歩き方の作法があれば「座り方」の作法もあります。
基本的な座り方は「正座」ですが、この正座のやり方もさらに詳しく分けられています。
表千家では正座をした時、男性は安定する広さに両膝を開け、女性は拳1個分位膝を開けて座ります。
裏千家では男性は拳2個分位膝を開けて座り、女性は表千家と同じように拳1個分位膝を開けて座ります。
武者小路千家では男性は拳1個分位、女性は膝を開けずに座ります。
・お辞儀の違い
歩いてきました、座りましたとなると次は「お辞儀」ですね。
もちろんお辞儀にも流派によって作法が違います。
表千家では男性は両手を20cm位、女性は7~8cm位開けて八の字に手をつき、横から見て30度くらい体を曲げてお辞儀をします。
裏千家では手のつき方は表千家と同じですが、お腹が膝に着くほど丁寧な「真(しん)」、前に体をかがめる位の「行(ぎょう)」、手をついて軽くお辞儀をする程度の「草(そう)」の3種類があります。
武者小路千家では男女とも左手が前になるよう膝の前で軽く合わせてから 指先を膝前の畳に軽く付け、背筋を伸ばしてお辞儀をします。
お茶・道具の違い編
・袱紗の違い
使う道具の1つである「袱紗(ふくさ)」にも違いがあります。
袱紗は、主に茶道で茶器を取り扱うときに用いられる布のことで、服紗、帛紗とも表記されます。
用途としては茶入、棗(なつめ)、茶杓(ちゃしゃく)などを拭う時や、釜の蓋を取る時に用います。
点茶においてはなくてはならないもので、袱紗を扱う動作のことを「帛紗さばき」と言います。
この袱紗に置いて、三千家によって色が違います。
裏千家で使う袱紗の色は、男性は紫色で女性は赤色です。
表千家と武者小路千家で使う袱紗の色は、男性は紫色で女性は朱色です。
・菓子器の違い
表千家と武者小路千家では、蓋つきで菓子が見えない菓子器を用いますが、裏千家では蓋が付いておらず菓子が見えるものを使います。
・茶筌(ちゃせん)の違い
茶筌はお茶を点てるときに使う、竹製の物です。
ただ竹製とはいっても、流派によって違った種類の竹を使用しています。
表千家で使用する茶筌は煤竹(すすだけ)で出来ています。
煤竹とは、古民家の屋根に使われてきた竹を材料にしたもので、長年囲炉裏の煙で燻され、独特の風合いを持ちますが、近年は貴重なものとなっています。
裏千家は特別な場合以外は正式なお茶事でも白竹の茶筌を使います。
武者小路千家は紫竹(しちく)と呼ばれる黒っぽい竹でできた茶筌を用います。
・お茶の点て方の違い
三千家の間には、お茶の点て方に違いがあり、見た目でも区別がつきます。
表千家のお茶は泡のない部分が半月状に残っています。
裏千家のお茶は表面全体が細かい泡で覆われています。
武者小路千家もあまり泡が出ないように点てます。
茶筌の使い方は、表千家は腕全体を使って茶筌をゆるやかに動かしてから、半月の状の泡のない部分が残るように回して抜きます。
裏千家では、まず茶碗の底の部分、そして中程部分で早く茶筌を振って泡をたくさん出し、最後に表面を軽く振って泡を細かくふんわりさせます。
武者小路千家では、茶碗を少し傾け、空気が入らないように茶筌を丸く回します。
茶道の流派をしっておくこと
一度茶道を習ってから、別の流派の門を叩くのは容易でないと思います。
そうした意味では、茶道を習う前からどこの流派が自分にあっているかということを調べることが大切だと思います。
また、習い始めてからも他の流派について知っていると、お茶会の席で他の流派の作法を見かけた時に焦らずにすみます。
日本文化の茶道。興味がある人も、既にされている方も調べてみてはいかがでしょうか。