七夕になると、幼稚園児とか小学生ぐらいの子供が笹に願い事をくくり付けます。
自分も昔はくくり付けていました。また、織姫と彦星の伝説なんかもよく聞かされたものです^^
しかし、よくよく考えると七夕の伝説と願い事をすることって、いまいち繋がらないですよね?
実は七夕が成立するまでには、3つの要素が絡み合っているのです。今回はそれを丁寧に紐解いていきます。
そして、そこには日本文化がどう成り立ってきたのかを垣間見ることができるのです!
全体の関係性は?
七夕に関わる以下の重要な3つの要素の、ざっくりとした関係をまず解説します。ここを抑えておかないと、頭がこんがらがってしまうので注意しましょう!
・棚機(たなばた)という行事
・織姫と彦星の伝説
・乞巧奠(きこうでん)という行事
まず、棚機という行事は日本古来の行事で、七夕が「たなばた」と読まれる由来の最有力候補になります。
次に、織姫と彦星の伝説は中国の古い伝説の1つで、それにあやかって生まれた中国の行事が乞巧奠です。
その伝説と行事が、日本に伝わって七夕の原型になりました。その後、日本で乞巧奠が変容し、棚機などの日本の文化と合わさりながら今の七夕の形になったのです♪
読み方の由来になった行事
棚機とは日本の古い神事で、その源流をたどると縄文時代くらいまで遡れるのではとも言われます。
神事では女性が棚機津女(たなばたつめ)となり、川など水辺の機屋(はたや)に籠もり着物を織ります。
そして、着物を機屋の棚に供えて神を迎え豊作や人々の穢れを祓い厄災が降りかからないよう祈りました。
また、川などの水辺でこの神事が行われたのは、穢れを祓う禊(みそぎ)の行事だったためです♪
それから、機屋とは織物を作る建物を意味し、織り機のことは棚機と呼ばれていました!
その後、仏教が伝来すると祖先の霊を迎える、つまり盆の準備として7月7日に行われるようになりました。これには、棚機の神事が祖先崇拝の性質もあったことが影響していると考えられます。
ちなみに、現在は七夕とお盆が全く分かれていることが多いのですが、これは明治の改暦にて、それまでの暦と今の暦で1月ほどのズレが発生したためです…
その時から、お盆は本来の季節感と合わせるために1ヵ月遅らせた8月に行い、暦との関係が深かった七夕はそれまで通りの日付である7月に行われるようになったのです!
ただし、七夕も月遅れにして8月に行事を行っている地域もあります^^
七夕の根本である伝説と行事
織姫と彦星の伝説は、元々中国では織女(しょくじょ)と牽牛(けんぎゅう)の伝説でした。織女は女性の美称である姫をつけ織姫、牽牛は男性の美称である彦と星なので彦星と日本で名付けられたのです!
それで、織女は機織りをする女性、牽牛は牛飼いという意味で、織女は裁縫全般を、牽牛は農耕全般を司る神として考えられていました♪
その織女星(織姫星)に、機織りや裁縫の上達を祈ったのが、昔の中国で生まれた乞巧奠です。
この行事は7月7日の夜に行われ、庭先に祭壇を設けて針や布など様々なものを供え、月の明かりだけで針に糸を通すなんてこともしました。
また、この7月7日は旧暦の日付で、現在の日付ではありません。それと、この日が選ばれたのは、2つの星が最も輝く日であったためです。
ちなみに、乞巧は「巧みを乞う」という意味で、奠は「神仏に供物を供えて祀る」という意味があります。
そして、そんな乞巧奠が日本に伝わったのは奈良時代のことでした。
変容していく乞巧奠
日本に奈良時代に伝わった当時は、中国とほぼ同じ乞巧奠を七夕の宮中行事として行っていました。
また、七夕とは「7月7日の夕べ」を意味するのですが、この頃はまだ「しちせき」と呼ばれていました。
それから、平安時代にかけて裁縫関係だけでなく、和歌や楽器、習字など芸の上達も祈るようになります!
この頃には、里芋の葉に溜まった夜露で墨を溶かし、梶の葉に和歌を書き願い事をする行事がありました。これは、里芋の葉の夜露は「天の川のしずく」として、梶の木は神聖な木として考えられていたためです。
さらに、江戸幕府により七夕が五節句の1つに選ばれ、民間行事として庶民にも広まっていきました♪
その時より、より広い意味での習い事の上達が願われ、梶の葉でなく紙の短冊が使われるようになります。
つまり、この辺りから笹に短冊などを飾るようになり、より願い事が多様化していったのです^^
日本文化の多様性に気をつけよう!
七夕に願い事をする由来になったものの答えは、中国の行事である乞巧奠になります♪
しかし、それだけでは現在の日本における七夕の成立を説明しきることはできません!そこには棚機など、他の日本文化の影響があります。
しかも、その影響の度合は都市部や農村などで異なります。つまり、京都などはより乞巧奠の影響を受け、農村部など地方では棚機や盆の行事といった性格が強く残りました。
この様に大本の流れは概ね一緒なのですが、その後の派生の仕方がその地域の文化によって様々なのです。
ですので、大本の流れがつかめた後は、住んでいる地域や気になる地域の七夕行事を調べてみてください。そうすれば、その地域の文化的特色がより分かりやすく見て取れますよ^^