春の七草は聞いたことがあっても、秋の七草は知らないなんてことも多いかと思います…
そこで、今回は秋の七草についてその由来と春の七草との違いを調べてきました!
さらには、簡単に覚えやすい方法についても合わせてご紹介します^^
そして、それらを知っておくと秋の七草の楽しみ方というものが見えてくるのです♪
まず春の七草を知ろう
春の七草を知らない人のために簡単にご説明します♪
春の七草は、セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロです。
1月7日に、それら七草をお粥にしていただきます。
邪気を払い、無病息災でいられるようにと、願を掛けるんです。
お正月の御馳走を沢山食べて、疲れた胃を休め、冬に不足しがちな栄養を補う効果もあります。
では、秋の七草とは?
秋の七草は、ハギ、キキョウ、クズ、フジバカマ、オミナエシ、ススキです。
いくつかの花の名前は聞いたことがあるかと思います。例えば…おハギ。
泉鏡花の「海神別荘」というお話にも登場する花々です。
あ、クズも食べられますね。葛饅頭のクズです☆
これらが、秋の七草と呼ばれるものですが、これを春の七草のように食べるのか?
答えは、NO!食べたりはしないんです!
秋の七草 その由来は?
秋の七草の由来は、奈良時代の貴族で、その時代を代表する歌人として有名な山上憶良が詠んだ歌です。
また、この2首は万葉集に収められている歌になります。
- 秋の野に 咲きたる花を 指折り(おゆびおり) かき数ふれば 七種(ななくさ)の花
- 萩(はぎ)の花 尾花(おばな)葛花(くずはな) 瞿麦(なでしこ)の花 姫部志(をみなえし) また藤袴(ふぢばかま) 朝貌(あさがほ)の花
1首目は五・七・五・七・七の短歌、2首目は五・七・七・五・七・七の旋頭歌になります。この旋頭歌は、万葉集など特に奈良時代に見られる和歌の形式です♪
それで1首目は、秋の野原に咲いている花を指折り数えてみると7種類の花があるという意味です。2首目は、それを受けて7つの花を挙げているのです。
こう考えると秋の七草を単に列挙しただけの歌に聞こえ、2首目なんかは特にそう感じられます。
しかし、これには別の解釈をする説があるんです!
まず、1首目の「おゆびおり」という言い方は、少し特殊な言い回しで「おゆび」は子供との会話に使われる呼び方と考えられます。
例えば、犬をワンワンと言ったり、足をあんよと言うやつです^^
つまり、山上憶良が子供たちに向かって指折り七草を数え上げながら教えているというのです。
さらに、2首目の「また」の位置に注目すると、指折り数える片方の手が一杯になり別の手で数え始めていることが分かります。
こんな風に考えると、この歌が実に微笑ましいものに感じられます♪
なお、朝貌の花は現在では桔梗(ききょう)のことだという説が最有力です。また、尾花はすすきを指します。
なので、秋の七草は現在の言い方だと以下の7つの花を指します!
- ハギ・ススキ・クズ・カワラナデシコ・オミナエシ・フジバカマ・キキョウ
秋の七草はいつ見れる?
当時の暦だと、秋は、現代の夏に該当します。
奈良時代と現代では、気候も異なっているようで、今とは秋の七草が見られる時期が違います。
山上憶良が歌を詠んだ時は、七つの花が当時の暦、7月、8月、9月に見ることが出来たとされています。
今は大幅にずれて開花する花も含まれるので、七草全部を同時期に見ることは叶いません。
でも、秋の七草に選ばれている花を知っていれば、奈良時代との暦の違いに気付くことが出来て、ちょっと楽しくなりますね♪
覚えるための2つの方法
秋の七草の順番は、特に決められてはいません。ただ、列挙するなら歌の通りするといった感じです。
なので、7つの覚え方は覚えやすければ何でもいいんです!
もちろん、歌そのものを覚えるのが一番かっこいいとは思いますが、難しいですよね…
そこで覚えやすい方法として、語呂合わせの方法とリズム良く覚える方法をご紹介します♪
【語呂合わせの方法】
語呂合わせの方法は七草の頭文字で言葉を作る方法になります。
例えば以下のようなものが有名です!
- おすきなふくは?:おみなえし、すすき、ききょう、なでしこ、ふじばかま、くず、はぎの頭文字順
- ハスキーなおふくろ:はぎ、すすき、ききょう、なでしこ、おみなえし、ふじばかま、くずの頭文字順
ハスキーなおふくろとか中々インパクトのある語呂合わせですね…
こんな感じに、自分で覚えやすい語呂合わせを作っても面白いでしょう^^
【リズム良く覚える方法】
リズム良く覚える方法とは、五・七・五・七・七の短歌の順で覚えるというものです。
- 萩(はぎ)桔梗(ききょう) 葛(くず)藤袴(ふじばかま) 姫部志(おみなえし) 尾花(おばな)瞿麦(なでしこ) 秋の七草
秋の七草までしっかり入り、きっちり短歌の形式になっていていい感じです♪
自然と口にしやすいリズムで、何度も口にしていればそのうち覚えられるでしょう。しかも、こちらは花の名前も含まれていて、よりしっかり覚えられます!
春の七草との違い
春の七草だと、七草粥を食べる風習が有名かと思います。しかし、この風習がいつから始まったかの起源は定かではありません…
ただ、寒い冬に7種の野菜が入ったとろみのある汁物を食べて無病を祈る、昔の中国の風習が伝わり、日本の文化や植生と交わって発展し今の形になったと考えられています。
また、今の春の七草が選ばれたのは鎌倉時代になります。それまでは12種類のこともあったり様々でした!
一方で、秋の七草の歴史というのは、先の山上憶良の歌ぐらいしかありません。
ようは、山上憶良が秋の花と言ったらこれだよねと歌った7種の花でしか無いのです。
つまり、春の七草が行事であるのに対し、秋の七草は観賞用という違いがあるのです♪
薬や食用として
秋の七草は本当に鑑賞するだけのものなのでしょうか? 実は鑑賞用だけではないのです!
秋の七草の一つ「ススキ」は、中秋の名月に、団子と一緒に飾られている花として有名です。
実は、薬草としての効果があるものが「秋の七草」として集められているのです。
なので、鑑賞用でもありますが、漢方薬として飲んだり、食べることもできるのです。
例えば、クズは葛根湯で有名な風邪薬ですし、和菓子の葛餅の原料にもなります。
ススキは利尿作用がありますし、キキョウは喉の痛みに効きます。
韓国では、キキョウは「トラジ」と言って、一般的な食材だったりするんです。
他の七草も様々な効果があり、民間療法として利用されています。
また、ハギは栽培がしやすいマメ科の植物なので、土地を豊にするため植えることもあります。
さらに、ハギは、屋根や壁の材料、染め物、お茶、家畜の餌等、様々な活用方法があります。
ハギの実は粉にして、お餅に混ぜて食べられていたことや、ハギの花と小豆が似ていることから、「おはぎ」の由来になったと言われています。
季節を探しに行こう!
秋の七草とは、秋の風景を愛でる歌がその由来です。
また、この様な季節の花を愛でて歌にすることは、昔からよく行われていました。
なので、歌を読んだ昔の人がどの様に季節を感じていたのかは、その花々を探すと見つけることができます♪
そして、先程、秋の七草が見られる時期が、現代とは異なる花があると前述しましたが、昭和10年に万葉の時代から伝わる秋の七草とは別に、新しく秋の七草を選ぶことになりました。
新・秋の七草を選ぶ人は、作家、歌人、植物学者などで、その人達が現代の秋を連想させる新しい秋の七草を選んでいます。
例えばコスモスや曼珠沙華などの秋らしい花が選ばれています。
秋の七草が見られる時期は違っていても、それぞれの花を見て季節を感じたり、利用する事は昔から変わらないんですね^^
あなたも、ぜひ、秋の七草を探しにお散歩へ出かけてみてはいかがでしょう?
きっと、美しい日本の秋を感じること間違なしです♪^^