「東洋の魔女」という言葉を聞いて、女子バレーボールを連想する人はそんなに多くないかもしれません。
もしかしたら、ハリーポッター的な魔法使いを思い浮かべたり、はたまたジブリ的な魔法使いを思い浮かべる人がいるかもしれません。
なぜなら、「東洋の魔女」と女子バレーボールが言われていたのは遠い昔の話。
今の女子バレーボールと比べて、世界でもTOPレベルの成績を残していたのです。
そこで、なぜ日本の女子バレーボールが「東洋の魔女」と呼ばれていたのか、そしてなぜ強かったのかを詳しく説明していきます。
なぜ「東洋の魔女」と呼ばれていたのか
なぜ、日本女子バレーボールのことを「東洋の魔女」と呼んでいたのかというと、東京オリンピックにおけるアメリカの解説が素となっているようです。
1960年の欧州遠征において、日紡貝塚チームが22連勝という記録を叩き出しました。
この結果に世界中の新聞社がその偉業を称えました。
特に当時のソビエトの通信社が「東洋の台風」「東洋の魔法使い」という表現を使っていたのです。
なぜ、そこまで強い表現を使っていたのかというと、それにはソビエトのバレーボール事情があります。
当時の女子バレーボールで強い国といえば、断トツでソビエト。
どこの国も勝てる相手ではありませんでした。
しかし、1962年に開催されたモスクワ世界選手権で、日本はソビエトを倒したのです。
つまり、事実上のTOPに日本女子バレーボールが君臨したのです。
こういった背景もあり、1964年に行われた東京オリンピックでは日本女子バレーボールが勝利をおさめると、アメリカのテレビ局では「東洋の魔女」と連呼するようになったのです。
そして、東京オリンピックでは大会全勝での金メダルを獲得。
このオリンピックで引退する監督と選手にとって、有終の美を飾ることができたのです。
なぜ「東洋の魔女」は強かったのか
世界最強となった、日本女子バレーボール。
その強かった理由には、3つあげられます。
ひとつひとつ紹介していきますね。
①圧倒的な練習量
強くなれた理由は、圧倒的な練習量です。
オリンピックに備えた練習では、毎日10時間も練習をしていたそう。
当時は今のようなプロではなく、所属している会社の仕事をやります。
なので1日のスケジュールは、
8:00~12:00 工場勤務
15:00~翌2:00 練習
という感じだったそうです。
今どきの言葉でいえば、超絶ブラックという言葉を使っても許されるでしょう。
学生でも毎日10時間なんて練習していませんよね。
私も地元では強いバレーボール部に所属していましたが、1日練習なんて休みの時だけでした。
授業が終わってから10時間練習となると…。
恐ろしすぎて考えたくもありませんね。
その分、心身ともに鍛えられたのは間違いないです。
②平均身長が高かった
バレーボールというスポーツは、スポーツの中でも身長が高い方が有利です。
攻撃であるアタック、防御であるブロックはネットの上で行われます。
しかし、日本人は世界的に見ても身長が高くなりにくい民族です。
そのため、現在になっても世界の平均身長には遠く及びません。
ですが、当時の日本女子バレーボールの平均身長は190センチ超。
現在の日本代表メンバーの平均身長は約175センチですから、約20センチ以上も高かったんですね。
もちろん、当時と今ではルールも違えば、出場している国の数も違うので一概には言えませんが、慎重に振り切ってチーム構成してみるのもアリかもしれませんね。
③回転レシーブの開発
先ほど、平均身長が190センチを超えていたと述べましたが、それでも世界の選手と比べると体格に劣っていました。
そのため、レシーブ力を強化するために回転レシーブを開発したのです。
回転レシーブというのは、取りにくい位置に飛んできたボールを、飛びつきながら回転動作をともなってレシーブすることです。
回転動作をともなってレシーブをすることで、崩れた体勢からすぐに立て直すことができるので次のプレイをすぐに開始できます。
これは、柔道の受け身を参考に開発されたそうです。
柔道について詳しく知りたい方は、下記の記事を参考にしてみてください。
この回転レシーブを東京オリンピックでお披露目して以降、世界でも活用されるようになりました。
ちなみに、回転レシーブは今となっては基礎の基礎。
めちゃくちゃ練習させられるんですが、慣れない時は頭や肩をよく打ち付けていました…。
頑張れ!日本女子バレーボール
現在の女子バレーボールはというと、当時の強さはありません。
それは当時と比べ、世界的にバレーボールの競技人口が増え、スポーツとして熟されてきたことが原因としてあげられます。
やはり、身長や運動神経がものをいうスポーツですから、日本人にとっては不利なスポーツと言えるでしょう。しかし、日本女子バレーボールの強みである戦略と速さで各国を倒していってほしいですね!