正月というと、お節や鏡餅など、様々なものが思い浮かびます!
しかし、小正月と言うとそもそも言葉すら知らないという人もいるのではないでしょうか?
ところが、この小正月は実は日本の文化を考える上で決して忘れてはいけない存在なのです!
今回は、そんな小正月の由来やどの様な行事があるのかご紹介します☆
これらは、知らないと日本の文化は語れないような非常に重要な知識になります^^
暦について
小正月の由来には暦が関係していて、大きく3つの種類に分けると分かりやすいです。
- 地球が太陽を回る周期を元にした今の暦であるグレゴリオ暦
- 月の満ち欠けを元にした新月が月の初めになる今の暦になる前の暦
- 月の満ち欠けを元にした満月が月の初めになる中国から暦が輸入される前の暦
まず、はるか昔の日本では満月を月の初めとした暦が使われていたと考えられています。
また、満月から次の満月の前日を1ヵ月とすると、満月だと見ただけで分かり天文学が未発達の時代でも暦を作れたと推測されるのです。
なお、この頃の暦はざっくりと季節が分かるだけの自然歴で、今の考え方だと暦とは言えないものでした。
それから、今度は中国から新月を月の初めとした暦が輸入されます。
ちなみに、江戸時代中期の貞享暦が日本で作られた初めての暦で、それまでは中国の暦に頼っていました。それと、月の満ち欠けを元にしているので、常に1日が新月、15日がだいたい満月になります。
そして、明治の改暦で旧暦から今のグレゴリオ暦へとなり、1ヵ月ほど季節がずれるようになったのです。
小正月の由来と現在
はるか昔、日本は満月を月の初めとしていたので、1年の始まりは満月の日でした。
ところが、中国から暦が輸入されたことで新月が月の初めとされ、満月の日は15日になってしまいます。
そして、ここから1月1日の大正月と15日の小正月が生まれました。
つまり、中国の新しい暦の導入は公的な事業として行なわれたため、公的な正月行事は大正月へと移行し、その影響が及ばなかった狭い地域共同体などの私的な行事は小正月にとどまりました。
ちなみに、小正月の他に十五夜など満月の時に行なわれていた風習の名残が今も多く残っています。
さらに、これが元になり今でも大正月には年神様といった都市部などで広く流行した行事や公的な行事が、小正月には豊作祈願といった地域に関連した行事や家庭的な行事が行なわれます。
なお、旧暦から新暦へと移っても大正月は1月1日、小正月は1月15日と日付は変わりませんでした。
しかし、新暦は月の満ち欠けを元にしていないので、常に新月や満月になることはなくなります。
そして、時代が下るにつれ都市化と都市文化の流入が進んでいき、小正月の文化は衰退していったのです…
どんな行事を行うの?
今も残る小正月の行事には次のようなものがあります。
【餅花】
餅花は小正月の飾り物で、岐阜の辺りでは花餅とも呼ばれます。
この飾り物は、稲穂に見立てられたナギやヌルデなどの木に小さく切った餅や団子を指してつくられます。これは作物が豊かに実った様子を表し、五穀豊穣の祈りが込められているのです。
また、餅花を飾ることから小正月のことを花正月とも呼びます♪
ちなみに、養蚕が盛んだった地域では餅や団子を繭の形にした繭玉が使われます。
【粥占い】
粥占いは、粥を使い吉凶を占う行事です。また、筒粥神事(つつがゆしんじ)や粥占神事(かゆうらしんじ)など地域によって呼び名が変わります。
さらに、占い方も地域によって違い、粥の中でかき回した棒についた米粒の数や、数日放置した粥に生えたカビなど様々な方法で占われるのです!
【どんと焼き】
どんと焼きは、正月飾りなどを焼く火祭りです。地域によって様々な呼び方があります!
このお祭りでは、地域の安寧や繁栄などが祈られるのです♪
さらに、この火で焼いた餅や団子を食べれば無病息災で過ごせると言われています。
また、どんと焼きの更に詳しい由来は下の記事を参考にしてください。祭りの多様性がよく分かりますよ^^
【小豆粥】
元々は中国の冬至に小豆粥を食べる昔の風習が由来で、それが日本に伝わり小正月の行事になったのです!
また、赤い小豆には邪気を払い魔除けの力があると信じられ、それを食べることで無病息災を願いました。
【なまはげ】
秋田県のなまはげは、今では大晦日に行われていますが元々は小正月の行事でした。
また、なまはげは異界から人の世界にやって来て、幸福や豊穣などをもたらしてくれる来訪神になります。つまり、昔は満月の明かりに照らされながらやって来たのです。
しかし、最近では著しい衰退や文化の変容が見られます…
成人式との関係
かつて小正月には、成人になったことを示す元服の儀が行なわれていました。
そういった歴史的な由来にちなんで、成人の日を1月15日として1948年に制定されたのです!
しかし、高度成長期以降に都市化と核家族化が進んでいき小正月が馴染みの薄いものとなったこともあり、ハッピーマンデー制度によって2000年から1月の第2月曜日になってしまいます。
こうして、小正月由来と分かりにくくなってしまったのです…
はるか昔から連綿と
よく日本の文化というと、歌舞伎や和食など大きな文化に目が行きがちです。しかし、それらは実のところ氷山の一角でしかありません!
例えば、小正月のようなより身近にある文化が日本にはたくさん根付いていました。
ですが、そういった文化の多くが衰退の危機にあります。小正月の場合だと、都市化や核家族化などがその原因でした…
ただ一方で、それらはどうしようもない時代の変化だとも言えます。都市化することで、より豊かな生活を実現できた面も否定しきれないのです。
なので、何を変えるべきで何を変えないかを見極めることが今後より重要になってきます♪
そして、その第一歩は文化を知ることから始まります^^
特に楽しみながら五感で感じることが大切なので、ぜひ小正月など身近な文化に触れられる機会があるなら迷わず飛び込んでみてください☆