伝統工芸というと、どのようなイメージを持たれるでしょうか?
古臭い、衰退中、あまり景気のいい話は出てこないかもしれません。
最近では、ちらほら、若い人でも伝統工芸を守ろうと志してくれたりします。
とても嬉しいのですが、それだけで良いのでしょうか?
そんな人に知ってほしいのが、京都の大学での取り組みです。
私も京都の大学に通っていた時に、初めてこんな取り組みがあるのだと知り驚いたものです。
ここでは、「伝統工芸は守るだけじゃない!むしろ、ガンガンいこうぜッ!」みたいな感じになっている京都の取り組みについてご紹介します。
実は伝統工芸の世界もどんどん変わってきているのです!
世界に打って出よう!伝統産業グローバル革新塾
伝統産業グローバル革新塾とは、同志社ビジネススクールで立ち上げられたものです。名前からして、とても攻めてる感じが伝わります。
この伝統産業グローバル革新塾は、大学で得られた知見を元に、大学の職員と伝統産業の経営者が協力しあい、伝統産業を更に進化させ、文化ビジネスとして海外へ打って出ようというものです。
さて、時に、先程から伝統工芸ではなく、伝統産業と言っていますが、多分、聞き慣れないのではないでしょうか?私もこの言い方を知ったのは大学に入ってからでした。
これは簡単に言うと、伝統工芸は、実用的かつ芸術的な「製品」で、かつ「技術」としての意味合いが強いのに対し、伝統産業は、それを基にして起こした「産業」という意味合いです。
なので、明確に違いがあるかと言われれば、あんまり無いと私は思います。ただ、伝統産業と言っている方が、なんか「生き残ってやる!」感を強く感じます。
ともかく、そんな革新塾ですが、3つのビジネス戦略を打ち出しています。
1つめが、今までになかった伝統産業と異業種、もしくは海外文化と組み合わせる「文化の組み合わせ戦略」
2つめが、海外へ打って出ていき、京都の文化を世界に広める「文化の横広げ戦略」
3つめが、最近では日常から消えてしまった伝統文化を、再び活かせるよう、コアとなる部分は変えずに適応させる「文化の日常化戦略」
さらに、ここにハイテク技術をも取り入れていくというのです。
まさに「ガンガンいこうぜ!」じゃありませんか⁉︎
気になったら、ぜひ革新塾のホーページをご覧ください。具体例もあってより分かり易いと思います。
⇨http://bs.doshisha.ac.jp/kakushin/
科学の力で伝統工芸を躍進させる!伝統みらい教育研究センター
京都工芸繊維大学の傘下にある組織の伝統みらい教育センターでは、伝統工芸を工学的な見地から研究しています。この伝統工芸を工学的に研究するのがすごく面白いです!
例えば、匠の技の動作解析なんかをやっています。動作解析というのは、よくスポーツ選手がフォームの改善をするために、センサーを体に付けて、PC上で棒人間みたいのを見ながら、ここが悪いとかやっているのを想像してください。まさにそんな感じです。
じゃあ、それで何が分かるのかというと、匠の体の動かし方と、素人あるいは修行が足りていない人との違いが見えてきます。
そして、そこから、匠の技術のコツというのが見えてくるのです。すると、ここを改善していけば、上手くなるというのが分かるのです。
それは、つまり修行期間を短くすることに繋がり、早く職人として自立できるのを助けます。要は後継者問題の解決策にもなるのです。
すごくないですか? 私は「科学の力で伝統工芸にこんな事ができるんだ⁉︎」と感動したものです。
他にも、漆の光沢感などを再現したプラスチック開発など、様々に研究をしています。
⇨https://www.kit.ac.jp/edu_index/center/tradition/
これらの研究は、これまで「何となく高品位だと思っていた伝統工芸」から「だからこそ高品位と説明できる伝統工芸」に変えてくれるのです。
しかも、こうやって明確に説明することができるようになれば、伝統工芸品だけでなく、現代の様々なものづくりに応用できる可能性が出てくるのです!
京都の伝統工芸はタダモノじゃない!
1.伝統工芸をもっと身近に、もっと世界に広める、伝統産業グローバル革新塾
2.伝統工芸をもっと活用できるようにする、伝統みらい教育研究センター
今回、紹介できたのは以上2つですが、京都では他にも色々な取組がなされています。
ですので、ある意味、伝統工芸の先進地として「そうだ、京都に学びに行こう!」と言えるかもしれません。