京都を代表するお寺であり、庭がある金閣寺。
正式名称は「北山鹿苑寺(きたやまろくおんじ)」というのはあまり知られていません。
さて、この金閣寺ですが、四季折々その表情を変えます。特に冬の雪化粧が有名ですね。
しかし、私はあえて秋の紅葉をおススメしたいと思います。
金閣寺の紅葉と聞くとピンと来ないかもしれません。
それもそのはず、紅葉よりも松のような針葉樹が多いため、真っ赤な紅葉にはならないからです。
しかし私は真っ赤っかなだけが紅葉の楽しみ方とは思いません。
紅葉とマッチする風景や建物といったものも重要だと思うからです!!
金閣寺は美しい日本庭園がありますので、それと合う特別な紅葉があります。
今回はその金閣寺の紅葉の楽しみ方について解説します!
金閣寺は水の庭園!?池泉回遊式庭園とは
そもそも金閣寺の庭はどういったものなのでしょうか。
金閣寺の庭園は「池泉庭園(ちせんていえん)」と呼ばれます。
「池泉庭園」とは、自然の景色を凝縮して創られる庭園の様式で、山があり川があり海がある庭です。
この庭園には「水」という要素が取り入れられているのが特徴です。
金閣寺は鏡湖池(きょうこち)という池があるため、この「池泉庭園」にあたります。
また金閣寺は順路が決まっているので、「池泉庭園」の中でも「池泉回遊式庭園(ちせんかいゆうしきていえん)」になります。池泉回遊式庭園はその順路で回るという特性上、自分のお気に入りスポットを探す楽しみ方ができます。
鏡湖池
金閣寺で紅葉を楽しむ際に外せない場所に「鏡湖池(きょうこち)」があります。
境内約132,000㎡(4万余坪)の内、中心をなす鏡湖池は約6,600㎡(約2千坪)あるとされており、この名前に込められている通り鏡のように金閣寺を映し出すことから、その名前が付けられています。
金閣寺で紅葉を見る際にはこの「鏡湖池」に写る紅葉と金閣寺は見逃せないものとなっています!
ただ「鏡湖池」に写る紅葉、金閣寺を見るのには少し条件があるのでご注意ください。
それは天候です。
やはり池に反射して写る景色ですので、雨や曇りだとしっかりと水面に写りません。
そのため晴れということが重要になってきます。
そしてもう一つ。風です。
風が強いと水面が波打ってしまい、これまた上手く写りません。
金閣寺に紅葉を見に行かれる際には、こうした天候にも注意してください。
夕日を見るならここ!夕佳亭
金閣寺境内の北東に位置する場所にある茶室。
その名を「夕佳亭(せっかてい)」と言います。
この茶室も金閣寺の紅葉を見る上で外せないポイントとなっています。
その理由はこの「夕佳亭」という名前にあります。
「夕佳亭」という名前は「夕日に映える金閣が殊に佳い」という由来から名づけられたそうで、その由来の通りこの「夕佳亭」から見る夕方の夕日の沈む金閣寺はまさに絶景で、さらに秋には夕日と同じ朱色をした紅葉がその景色をさらに盛り立てます。
夕方に金閣寺に行かれる場合はぜひ「夕佳亭」で足を止めて金閣寺と紅葉、夕日のコントラストを楽しんでみて下さい!!
山も庭の一部?衣笠山、紅葉の借景
借景という造園技法をご存知でしょうか?
遠くの山などの景色を、その庭の一部であるかのように利用する造園法のことで、限られた庭園のスペースに背景を取り込むことで、非常に奥行きのある景観を形成することが出来ます。
盆地という山に囲まれた、土地である京都には多くの有名な借景が存在します。
もちろん金閣寺にも借景があります。
それは「衣笠山(きぬがさやま)」です。
衣笠山の名の由来は、笠形ともお椀を伏せたような形とも言える美しい山容や、第59代宇多天皇が夏に衣笠山に白絹をかけて、雪山に擬したその風景を楽しんだという伝説などからできています。
また「衣笠山」の北にはあの五山の送り火でも有名な左大文字がある「大文字山」があります。
もちろんこの「衣笠山」の紅葉もとても美しいものとなっています。
借景として金閣寺の庭の一部となった「衣笠山」の紅葉を見るのも、金閣寺の紅葉を楽しむ際に忘れてはならないポイントです!
足元も見逃せない!散り紅葉の魅力
あなたは散り紅葉という言葉をご存知でしょうか?
地上や水上などに散り敷く紅葉をさす言葉です。
私はこの言葉の意味を知った時、「つまり落ち葉の事ね。」と思いましたが、落ち葉というよりは散り紅葉と言ったほうがオシャレですね。
そしてこの散り紅葉も金閣寺で紅葉を楽しむ際に、見るべき重要なポイントです。
「鏡湖池」に浮かぶ紅葉も、庭に敷き詰められた絨毯のような紅葉も金閣寺を楽しむのにとても綺麗なので意識して見てみるのも良いですよ!
極楽浄土の紅葉模様
金閣寺を中心とする建築や庭園は極楽浄土、つまり天国の具現化とされています。
そうした意味では極楽浄土の秋模様を紅葉で体験することができると言えますね。
実はこの金閣寺は何度も再建されており、その歴史には深い文化があります。
その事については下記で詳しく解説しておりますので、良ければ合わせてご覧ください。
京都にはいろいろな紅葉スポットがありますが、あえて金閣寺に行くというのもいいかも知れません。
いろいろな日本庭園の技術が詰まった金閣寺ですし、紅葉を期に日本庭園について学んでみるというのもおススメですよ!