最近、残念なことに終戦記念日を知らない人が増えていることをよく聞くようになりました…
確かに戦後70年を超え、多くの人が戦争を経験していないだけでなく復興期も経験していません。
その様な時代の移り変わりの中では、尚のこと戦争に対する意識を保つのは一筋縄では行かないでしょう。
なので、まずは終戦記念日というものが一体何があった日なのか再確認します。
そして、戦争を語り継ぐためにはどうすればよいのか、また戦後とはどういう意味なのかも考えます。
終戦記念日は何があった日?
終戦記念日とは、戦争が終わった日とされています。
しかし、戦争が終わったとはどの様な状態を言うのか、実はそれが難しいのです!
なので、1945年8月15日近辺の歴史を振り返ってみましょう。
- 7月26日:ポツダム宣言発表 連合国が日本軍に無条件降伏を要求
- 8月 6日:広島原爆投下
- 8月 8日:ソ連が日本に宣戦布告
- 8月 9日:長崎原爆投下
- 8月10日:国体護持、天皇制を維持することを条件にポツダム宣言を受諾することを連合国側に打電
- 8月14日:国体に関して明確な回答が得られぬまま、御前会議にてポツダム宣言受諾の意思を天皇が表明
- 8月15日:玉音放送にて戦争終結が発表される
- 9月 2日:東京湾上の米戦艦ミズーリ艦上で降伏文書に調印
このように、8月15日は玉音放送があった日になります。つまり、天皇が日本国民に対し降伏を宣言した日を終戦記念日としています。
しかし、きっちりこの日に全ての戦争行為が終わったわけではありません!ソ連の北方領土への侵攻は9月の初めまで続きました。
さらに、その後もシベリア抑留など様々な所で犠牲者が増えているのです。
そのようなことを知ると、果たしてこの日で本当に戦争が終わったと言えるのかなと考えさせられます。
色々ある世界の終戦記念日
さて、日本において終戦が諸説あるということは、世界でもいくつかあるということです。
主なものでは3つあり、それぞれに制定された理由は以下のようになっています。
- 8月15日 韓国、北朝鮮:日本の植民地支配から開放された日として制定
- 9月 2日 アメリカ、イギリス、フランス、カナダ、ロシア:日本が降伏文書に調印した日として制定
- 9月 3日 ソ連、中国:9月3日にソ連は対日戦勝記念式典が開催され、中国はこの日から3日間を抗日戦争勝利記念の休暇としたため
なお、ロシアは2010年に9月3日だったのを、9月2日に指定しました。
この様に、各国様々な事情で終戦の日を定めているのです。ここに何を持って終戦とするのかについての、それぞれの考え方の違いを見て取ることができます。
さらに、ヨーロッパではドイツが降伏文書に調印した5月8日をヨーロッパ戦勝記念日としています。
これは、第二次世界大戦の戦場がヨーロッパと太平洋とに分けられるためで、ヨーロッパの方がより早期に終結していたのです。
どうやって語り継ぐか?
終戦の日を考えてみると、様々な国の戦争に対する考え方を見て取ることができます。
なので、日本だけではなく、そうした各国の考え方についても知る努力が必要だと言えるでしょう。
しかし、日本においては、そもそも自国の終戦記念日ですら覚えていないという人が増えています!
この理由としては、よく以下のような理由が挙げられます。
- 学校では年代の古い順に学ぶので、第二次世界大戦が軽く扱われてしまうため
- 戦争を経験した人が減ってきているため
- 戦争を扱った映画などのメディアが少ない
さて、この様な理由を挙げられると、自分たちではどうしようもない事のように思えます。
しかし、戦争を知らねばならないという意識は、より身近な周りの環境に影響を受けます。例えば、広島や長崎の人がより戦争に詳しく関心があったという話も聞きます。
なので、特に若い人が戦争の歴史について知らねばならないと意識するためには、周りの一人一人が戦争の歴史に関心をもち、その様に意識できる環境を築き上げていくしか無いでしょう。
また、学校等でとにかく教えまくるという方法もありますが、それだけでは不十分ですし危ういです。
なぜなら、戦争に対する考えは、各々が自らに考えなければ多様な考えが生まれず、偏った正義が実現してしまうからです。
今も戦後であるということ
「もはや戦後ではない」とは戦後の復興ぶりを表現したものになります。
しかし、経済的にはそうは言えても、やはり今は戦後なのです。なぜなら、第二次世界大戦以降は、日本が直接参戦する戦争は無かったためです。
では、この戦後はいつまで続くのかと言えば、答えられる人はいないでしょう。
だからこそ、未来において今の時代が戦前と言われないためにも、みんなで努力する必要があります!
それには、まず今が第二次世界大戦後に訪れた平和な時代なのだと意識し、さらには世界各国の考え方にも触れなければなりません。
そのための第一歩として、終戦記念日には身近な人と戦争について話し合ってみてください。
実際にそういう時代があったのだと認識し、私たち一人一人が今何ができるか?これからどう考え、どうしていくべきか?しっかり考えて暮らして行きましょう。
また、下記の記事は広島と長崎の原爆についてのものです。話をする際の参考にお読みいただけたら光栄です。