白くて丸い、お餅の代表格「鏡餅」
今は真空パックされた鏡餅の箱が積まれている風景も、年末の風物詩のようです。
その様子を見てふと疑問に思いました。
箱の中に鏡餅を飾る台は同梱されているのか…と。
そこで今回は、鏡餅に欠かせない台についてご紹介したいと思います☆
鏡餅を乗せる台の名は。
鏡餅を乗せる台の名は「三方(さんぽう)」といいます。
漢字では三宝と書くこともあります。
四角い形で、正面と左右(三方)に、穴が開いています。
ちなみに、穴のないものを饗(くぎょう)といい、四方に穴が開いたものを四方と呼びます。
そして何と!三方は穴のない方が表なんです!
穴が見える方に葉っぱや四方紅などを飾るので、そちらが表かと勘違いする人多数!
実は穴のない方が表で、神前に向けるというのが正しい配置です。
三方の穴には形と呼び名がある
三方に穴が開いているのは、何となくイメージができると思います。
そのイメージした穴は丸ではありませんか?
実は、よく見ると丸ではないんです。
この穴は、刳形(くりかた)と呼び、宝珠(ほうじゅ)の形をしています。
宝珠は、災難を退け、濁った水を清らかにし、願いが叶う珠(たま)を意味します。
下は球体で、上は尖った形をしています。
橋の欄干に玉ねぎのような玉が付いていますね。あれが宝珠です。
仏教では、菩薩様や観音様が持っていらっしゃいます。
鏡餅は神様(神道)のイメージですが、仏様も関係しているんですね☆
三方の使い方と素材
三方は、鏡餅を乗せる折敷(おしき)と、宝珠を模した穴が開いた胴を組み合わせて使います。
鏡餅を飾るほか、十五夜のお団子を乗せる台としても知られています。
その他に、桃の節句には菱餅(ひしもち)や白酒を、端午の節句には柏餅を乗せたりします。
また、神棚へ供物をお供えする時にも使います。
素材は桧(ひのき)などの木材が使われているものが一般的です。
白木のままが一番多く使われていますが、漆を塗ったものや、陶器でできた三方もあります。
三方は絶対に必要なの?
鏡餅は年神様がお正月の間、宿る場所として用意するものです。
また、武家では、お正月に鎧や兜を飾り、その前に鏡餅を飾りました。
三方はその省略形とされているため、本来であれば鏡餅に三方は必要です。
しかし、現代は神棚がなく、鏡餅もお店で購入する家庭が多いこともあり、台がないことも。
そのような背景から、箱に入って販売されている鏡餅には、紙の三方が付属している物もあります。
もし三方が無い場合は、和紙などの白い紙を敷いて、その上に鏡餅を飾ってください。
台(三方)を手作りする
無いなら作ればいいじゃん!と、身近なものを使って三方を作る人もいますよ☆
近年は100円ショップやホームセンターで、ハンドメイド用品がたくさん売られています。
角材の上に和風のお皿を置き、和紙を敷いて鏡餅を飾るのも素敵です。
ホームセンターで木材を購入して作るなら、軽くて加工がしやすいバルサ材がおすすめです。
小さな鏡餅なら画用紙や折り紙で作るという方法もあります。
飾りじゃないのよミカンは♪
台の上に飾るのは、お餅だけではありません。
裏白(うらじろ)や、ゆずり葉と呼ばれる葉っぱや、昆布、干し柿など縁起の良い物を一緒に飾ります。
そして、一番上に乗るのが、ミカン・・・。
…
…
ではありませんッ!!!
ゆずでも、かぼすでも、すだちでもありません。
鏡餅の上に鎮座する、あの柑橘類は「橙(だいだい)」です。
代々栄えるようにと意味が込められた大切なもので、ミカンではないのです。
つまり、鏡餅と一緒に台の上に乗っている物は全て、縁起の良い意味を含む物ばかりということです♪
鏡餅の葉っぱに関しては、こちらの記事を参考にしてくださいね。
台(三方)のお手入れ方法
木製や陶器の三方は、年中行事に使えるので、毎回買い換える必要はありません。
お湯で濡らした布をかたく絞り、拭いてから和紙や柔らかい紙で包んでから箱にしまいます。
漆器は湿気を嫌うので、乾いた布で拭いてください。
紙の三方は、どんど焼きに持って行き、お焚き上げをしてもらいましょう。
台(三方)以外のお洒落な飾り方
忙しくて三方まで準備できない、しょっちゅう使うものではないから…と迷ったら、こんな方法もあります♪
台に乗せないと罰が当たるということはありませんので、ご安心ください^^
台の代わりに、赤と白のフエルト布を四角形に切り、互い違いに重ねて飾ると色が映えます。
白のフエルトは赤より1cmほど小さめに切って重ねても素敵です。
また、サイズの異なる空き箱(お菓子などの)に包装紙を貼って、台の代わりにしてもいいですね♪
その他、平たい和皿に飾ればシックで洒落た飾り付けになります。
鏡餅と台は神様への心配り
鏡餅は年神様をお迎えする場所として飾るものです。
その鏡餅に、お正月の間、気持ち良く過ごしていただくために台(三方)を用意する訳です。
家にお客様をお迎えするときには、座布団を用意しますよね。
筆者は、三方はそんな心配りではないかと思います。
今年はいつもより少し心配りをして、年神様を迎えましょう!