梅雨の季節になると、ジメジメして嫌な気分になりますよね。
では、何故そんな雨の時期を「梅の雨」と書くのでしょうか?
今回はそんな梅雨の語源にまつわる4つの説をご紹介します♪
さらに、何故「ばいう」と「つゆ」の2つの読み方が有るのかも合わせてご紹介します^^
そして、そこには日本語に関するある法則性が秘められているんです!
語源の有力な説
梅雨は中国から「ばいう」という読み方で伝わった言葉です。
なので、実は中国の長江下流域や朝鮮半島南部など東アジアの広い範囲でも梅雨があります!
語源は、6月から7月中旬の時期が梅の実の季節であったことに基づく以下の2つの説が有力です。
・梅の実が熟す時期に降る雨だったから、元々梅雨と呼ばれていた。
・ものが黴(カビ)てしまう時期の雨だから黴雨だったが、語感が悪いので同じ音の梅を当て梅雨にした
つまり、この2つの説の違いは、元々が「梅雨」なのか「黴雨」なのかという違いになります。
ただし、どちらの説が正しいかはハッキリしていません。ですが、いずれにせよ梅雨の語源に梅が関わっているのは、かなり信憑性があると言えるでしょう♪
語源のちょっと変わった説
先程の有力な2説以外にも、梅雨の語源に関する有名な2つの説があります。
1つ目はそこそこ有力かな程度になる以下の説です。
・毎日のように雨が降るので「梅」をあて「梅雨」とした
確かに「梅」は「毎」に木へんをくっつけただけですから、近しい関係にはあります。ただ、それなら何故「毎雨」とならなかったのかが疑問の残るところです…^^;
もう1つの説は、ほぼこじつけだと考えられている以下の説です。
・普段の倍の雨が降るから「倍雨」だったのが「梅雨」に変化した
この説は人々の間でそういう風に言われている内に、説の1つとして定着してしまったと考えられています。ですが、そう言いたくなるような気持ちは分かる気がしますね^^
何故つゆと読む?
梅雨を「つゆ」と読むのが定着したのは、江戸時代の頃です。
例えば、江戸時代の書物の日本歳時記に「此の月淫雨ふるこれを梅雨(つゆ)と名づく」とあります。
しかし、何故「つゆ」と呼ぶようになったかは判然とせず、以下の3つの説が有名です。
・草花に「露」が沢山つく時期だから
・梅の実が熟して潰れる「潰ゆ(つゆ)」から
・カビてものがダメになる「費ゆ(つひゆ)」から
また、湿っぽい様子を昔は「露けし(つゆけし)」と言っていたので、そこも関連すると言われます。
そう考えると「つゆ」は「露」から来たのが、やや有力だと考えられます♪
「ばいう」と「つゆ」の使い分けは?
「ばいう」は昔の中国から来た言葉と読み方でした。このような昔の中国の発音を元にした読み方を音読みと言います。
それに対し「つゆ」という読み方は、日本で考えられた読み方です。このような漢字の意味を日本語に翻訳して生まれた読み方を訓読みと言います。
そのため、訓読みの方が聞いただけで意味が分かりやすいものとなっています!
そして、一般的な日本語の法則として、音読みには音読みを、訓読みには訓読みをくっつけます。
つまり、前線は音読みなので「ばいうぜんせん」と読み、入りは訓読みなので「つゆいり」という風に使い分けられます♪
他にも、梅雨入りとほぼ同じ意味である「入梅(にゅうばい)」という言葉も全て音読みです。
ちなみに、梅雨入りは天気予報など気象の話でよく使われ、入梅は暦の上で使われる違いがあります。
その辺りの違いについては下記の記事でご紹介しています。梅雨入りがどういったものかも分かりますよ!
また、梅雨を単体で使った場合の読み方ですが、基本的にどっちでも構いません。
ただ、「つゆ」といった方が日本語として馴染みがいいと言えるでしょう^^
例えば、「ばいうの時期は、ジメジメして嫌だ」と言うとやはり違和感を感じますf^^;
言葉に歴史あり!
梅雨という言葉は、中国で生まれ、日本で新たな読み方をつけられました。このように、梅雨という言葉1つにも中々な歴史があります!
また、他の言葉にも様々な物語が隠されています。そして、そこに日本語の面白さを感じることができます♪
例えば、音読みと訓読みの法則をご紹介しましたが、実は例外もあります。
それが熟語の上が訓読み下が音読みの湯桶(ゆとう)読みと、逆に上が音読み下が訓読みの重箱読みです。実際に、湯桶と重箱がその様な読み方になっています。
こんな風に日本語の世界は非常に多様で、実に意外な発見が多々あります。なので気になる言葉があれば、ぜひ言葉の成り立ちから探求してみてください☆