昔から伝わる提灯は和紙を利用して出来ていますが、最近ではビニールで出来た提灯も見かけます。
今回は、昔ながらの材料で作られた和紙の提灯についてご説明したいと思います♪
提灯の油引き
和紙でできた提灯とビニール製の提灯の違いは、ずばり、油引きの有無です。
素材の違いじゃないの?と言う声は空耳ですね、きっと。(^^;)
実は筆者「提灯の油引き」という存在を知りませんでした。
字面から意味を考えてみたところ、提灯の中に油を入れて、火を灯すことかと思いました。
ほら、時代劇とかに出てくる、行燈(あんどん)も油を使うでしょ?
そう、化け猫が舐めるやつ…ペロリ。
油引きという言葉
油引きという語句を調べると「油を塗ること、または、その刷毛を意味する」とありました。
そういえば、お料理の時にも『フライパンに油を引いて…』などと言いますよね。
油を塗ると言う場合もありますが、料理番組などでは、何かを炒める時に『最初にフライパンを温めて、油を引きます。』と言っています。
提灯の油引きは、和紙の提灯に油を引く(塗る)ことを言うんです。
ややこしいですが、日本人は自然に日本語の意味を使い分けて、理解しているんですね。賢い!
何のために油引きをするの?
和紙で出来た提灯は、雨に濡れると柔らかくなって破れてしまうことがあります。
そこで、和紙の提灯に油を塗る作業が必要になる訳です。
和紙の提灯に油を塗ることで、雨風から提灯を保護する役割があるんです。
油は水を弾きますからねぇ。車のフロントガラスの油膜のように…(-_-;
ただ、なかなか油だけでは完全に防水できないので、野外に設置する場合は、必要に応じてビニールカバーを併用することもあります。
油引きに使う油
提灯の油引きに使用される油は、主にアマニ油や荏油(じんゆ)です。
アマニ油は亜麻仁の種子から、荏油はエゴマの種子から取れる油のことです。
それらを提灯の表面に塗って、提灯の表面に防水性を持たせます。
どちらの油も乾燥性油で、空気に触れると固まる性質があるんです。
昔から油絵の具やワニス、木材の塗料などにも利用されているんですよ~。
あ!和傘にも使用しますよ。番傘、カラ傘、傘お化け…は違うかw
体にもいい油
ちなみに、アマニ油も荏油も食品としてお店で販売しています。
アマニ油は、現代人に不足しているオメガ3脂肪酸の1種である「αリノレン酸」が豊富に含まれているので、悪玉コレステロールを減らしてくれます。
荏油もコレステロールの減少、肝機能アップ、美肌など、摂取すると様々な効果が得られ、食品としても注目されています。
勉強になりましたね~☆
昔の人は科学の知識ではなく、実生活で効能を知っていたんですね。日本人って偉い!
取り扱いの注意
そんな優れた油を利用して、油入引きをしてもらった提灯は、耐久性が現れ、利用できるようになるまで、およそ2~3週間ほどかかります。
その間は、雨、夜露、風などは避けるために、出来るだけ日陰で干します。
また、油引きをした提灯は、保管する際にアブラムシなどの虫が付着しやすいため、防虫剤とともに、新聞紙で包むことが推奨されています。
油入れがしてある提灯は、和紙が酸化して固くなり、割れやすくなる恐れがあるので、何度も折り畳む行為は提灯にとって負担がかかります。
出来れば伸ばした状態で保管した方が良いです。
折り畳んだ提灯と比べ、耐久性に違いが出てくるので、取り扱いの注意を知って長く利用したいですね♪
油引きのメリット
取り扱いや保管はちょっと大変ですが、良い事もあります♪
それは、油引きした提灯は、年数が経つにつれて色が付き、味が出てくるということ。
しかも、光を通しやすくなり、防水効果もアップするというオマケ付き!
和紙で作られた日本の提灯は、海外にも人気があって、お土産で購入される方もいるので、保管方法を教えてあげてくださいね^^
油引きのお値段は?
油引きをしてもらう金額ですが、お店によって様々です。
お店で購入した方には無料で施してくれるところもありますし、提灯の制作をオーダーした後でオプションとして承るお店もあります。
油引き単体でオーダーすると料金がかかるので、作る時に依頼した方が良いですね。
また、元から油引きがしてある提灯を販売しているお店もありますよ。
自分の欲しい提灯はどんな提灯なのか、好みや必要に応じて、お店で確認してみてくださいね☆
先人の知恵
今回、筆者は提灯の防水に、食品として知っていた油が使われている事を初めて知りました。
昔の人は自然の中にあるものを利用したり、加工することで、また別の利用方法が生まれると発見したことが凄いですよね!
それが、現代の私たちの生活の中でも活かされ、昔からの伝統や製法を守り続けているって、本当に素敵なことだと思います^^
大切な先人の知恵、受け継いでいきたいですね☆