私は、面白い言葉が気になる方なんですけど、先日もこの言葉が気になりました。
「ゲン担ぎ」…この言葉の意味はだいたい分かりますが、「ゲン」って何?
今回は、ゲン担ぎという言葉の成り立ちや意味などを調べてみます!
ゲン担ぎという言葉はこんなところで
私がゲン担ぎという言葉を見かけたシチュエーションは、試験です。
これから試験を受ける人のコメントだったんですが、私は、「試験がんばれよー!」とは思いつつも、ゲン担ぎの「ゲン」って何?…って思っちゃいました。
ゲンかつぎ?…かつぐ?「ゲン」を?
「ゲン」って名前の付くもので担げる物ってあんまりなくないですか?
担ぐことが出来るような物の固有名詞としては「弦」くらいしかないし。
でも「弦」だったらひょろっと長い物だから、担ぐって表現はおかしくない?それに意味が通じない。
この言葉はカタカナで書かれることが多いけど、漢字があるはず!
まずは漢字を確認していきます。
「ゲン」はどんな漢字を書くの?「ゲン」の意味は?
ゲン担ぎの「ゲン」は漢字で「験」でしたー☆
「ああ、そうですか。」ってなった人、すごいっす!!!!
わたしは思い浮かびませんでした!
だって、「験」って普通「ゲン」って読みませんよ。
実験の「験」も、試験の「験」も読み方は「ケン」だし、「験」で「ゲン」と読むのは、「霊験あらたか」の「れいげん」くらいであんまりない読み方。
さて、漢字は分かったんですが、「験」が何者なのかがわからん!
それに「験担ぎ」って、漢字で書いたら余計、意味のわからんものになったよ…。
「験」には「試す・確かめる」とか「証拠」「しるし」とかの意味があります。
「試験」とか「実験」とか「体験」とかは、この意味ですね。
「霊験」は「神や仏のはかり知れない力のあらわれ」のことで、「験」は「あらわれ」を意味します。
じゃあ「験担ぎ」って、「証拠を担ぐ」?「何かのしるしを担ぐ」?
…なんだか試験に挑むのに余計に不安をあおってそうだ。
私も、ちゃんとした意味にたどり着けず、不安…、と思っていた矢先、とんでもない事実が!
そりゃないよー!ってってなりました!
衝撃の「ゲン」の正体!
「験担ぎ」の「ゲン」の正体は「縁起」でしたーーー!
…は?何言ってんの?「縁起」って「エンギ」?全然読み方違うじゃん!!!
はい、これね。江戸時代に流行った逆さ読み!
元は縁起を担ぐで「縁起担ぎ」。これなら分かる。
「縁起担ぎ」は、縁起が良いものにあやかろうとする事。
「ゲン担ぎ」も、意味は「縁起担ぎ」と同じ。
この「エンギ担ぎ」を、カッコよく言ったのが「ギエン担ぎ」です。
これ、江戸時代に流行ったんですよ!「エンギ」を逆さに言って「ギエン」ね。
ね?かっこいいでしょ?
で、「ギエン…ギエン、ギエンギエン…」って言ってる間にだんだん短くなって「ゲン」になっちゃった。
だから、「ゲン担ぎ」は「ギエン担ぎ」で「縁起担ぎ」なんですっ!
「縁起」っていう言葉が江戸時代の流行のおかげで「ゲン」に変わっちゃった、って言うのが、事の真相!
なるほど「ゲン担ぎ」の「ゲン」だけだと意味が通じないわけだわ…分かってよかったー。
今も残る江戸時代の流行!逆さ読み!
振り回された江戸時代に流行した逆さ読みですが、実は今でも結構あって面白いんです。
例えば、「あたらしい」って言葉なんですが、漢字で書くと「新しい」ですよね。
で、この「新」っていう漢字、一文字だと、「あらた」って読みます。…あれ?逆になってる?
そう、これも実は逆さ読みのせいなんです。
もとは、「新しい」で、「あらたしい」。「あらた・しい」だったんです。
それをちょっとカッコよく逆さ読みして「あたら・しい」って読んじゃって、それが定着しちゃった。
だから、送り仮名を付けると読みが微妙に変わるという、大変ややこしい事態にw
それから、「グレる」って言葉も江戸時代に流行した逆さ読みからきた言葉です。
なんと、「グレる」は、「ハマグリ」が語源。そう、貝です!
ハマグリは、同じ貝同士でないとぴったり合わないので、貝合わせという遊びの時に合わなかったハマグリの事をグリハマと呼びました。
だから、グリハマの意味は「ちぐはぐでかみ合わないこと」。
それで、グリハマのグリが動詞になって「グレる」になりました。
「愚連隊」とか言ってグレちゃってる子達!ソレ、食用の貝のことですよっ!笑
(「グレン」も同じくハマグリが語源です…。「愚連」は当て字ね。)
こんな風に、江戸時代の流行だった言葉が今でも生き生きと使われているのは、なんだか嬉しいですね!
面白い言葉がますます気になる筆者でしたー!