仏壇をご購入される方のほとんどは、既に住んでいる家に仏壇を置くことになると思います。
そうした場合、家具や家の雰囲気を壊さないようにどこにおくべきか、また”置いてはいけない方角があったような“みたいなこともあって、なかなか場所が決められないこともあると思います。
実際に置くべき位置というのは重要です。
宗派の教えによって違ったり、そもそも壊れてしまう場所なんてものもあります。
そこで今回は仏壇を置く位置について解説していきます。
仏壇の北向きNGは嘘?!
仏壇は北向きに設置するのはNGと一般的にされています。
しかし、仏教の考え方では別段北の方角がダメという教えはありません。
その根拠に「十方浄土(じっぽうじょうど)」という考え方があります。
十方浄土は仏教における考え方です。
十方とは、東西南北とその間と上下を加えた方位で、全世界をあらわしています。
浄土とは仏様がいる世界を指しています。
つまり、どの方角、あらゆるところに仏様がいるという考え方です。
この事から、仏壇の向きに関わらず仏様と向き合うことになるので、どの向きにするかということには決まりがないと言えます。
では、なぜ北向きはNGとされてきたのでしょうか。
その答えは昔の日本の家の構造でした。
昔の住宅には、南側に大きめの窓を取って、日差しを確保する構造がありました。
仏壇を北向きにするということは、大きめの窓がある南側に仏壇を置くことになります。
そこに仏壇を置いてしまうと、日差しが減少したり、風通しが悪くなったりします。
仏壇にとっても直射日光や湿気が多く、劣化の原因となってしまいます。
こうした理由から、昔の人は仏壇を北向きに置くことを禁忌してきたといわれています。
現代では住宅構造も変わってますので、日差しや換気に問題がなければ、北向きでも全く問題ありません。
宗派別!仏壇の置くおススメの方角
北向きがNGでないということはわかりましたが、「いざ、どの方角でも大丈夫です」と言われると逆に迷ってしまいますよね。でもご安心を^^
宗派によっては推奨されている方角というのがあります。
その宗派の考え方や本山がある方向等、宗派によって仏壇の設置を推奨する方角がありますので、宗派別に解説していきます。
○曹洞宗・臨済宗
曹洞宗と臨済宗では「南面北座説(なんめんほくざせつ)」という南に向けて北に設置する説が採用されています。
この説は「古来中国では高貴な人が南を向いて目下の人と接する習慣があったこと」によるものと、「お釈迦様が説法をする場合に南を向いていたとされる」ことからこのような説が成り立ったようです。
○浄土真宗・浄土宗・天台宗
浄土真宗、浄土宗また天台宗では「東面西座説(とうめんさいざせつ)」という東に向けて西に設置する説が採用されています。
これは、インドの習慣で「東は日の出るところつまり立身出世のめでたい位置」という意味と訳したことから主人は東向きに座ると良いとされ、この説ができたようです。
○真言宗
真言宗では「本山中心説(ほんざんちゅうしんせつ)」が採用されています。
本山中心説とは、仏壇の前に座って拝む時、拝む延長線上に信仰する宗派の総本山がある方向に仏壇を設置する考え方です。
拝む方向の延長線上に総本山があるように、仏壇を置きます。
真言宗の総本山は、和歌山県にある高野山金剛峯寺となります。
そのため、どの方角というのはご自宅の位置によって変わります。
ここまでは設置するにあたってのおススメを解説してきましてが、続いては逆に置いてはいけない、NGの設置場所について解説してきます。
絶対に置いてはいけない?!設置NGの場所とは?
○神棚との位置
もしご自宅に神棚がある場合、仏壇の位置に気を付けなければなりません。
それは、向かい合わせに置かないということです。
これは、どちらかに拝礼するときに、どうしても一方にお尻を向けることになってしまうからです。
できれば、平行に設置するのが一番良い方法です。部屋の構造などで、どうしても向かい合わせに置くことになる場合は、真正面を避けましょう。
少しでもずらしておけば大丈夫です。
また、神棚は上のほうに置くことが多いと思いますが、仏壇の真上は避けた方がよいとされています。
少しずらして、仏壇の上にならないようにしましょう。
神様も仏様もどちらが上ということはないためです。
○本尊の高さ
仏壇を設置した際のご本尊の高さにも注意が必要です。
ご本尊とは信仰の対象となる仏像・掛け軸・絵画・書などのことで、仏壇、仏具で最も重要なものです。
そのため、ご本尊を見下ろして拝むことにならないように注意して下さい。
背の低い上置きタイプの仏壇は、床に直接置くようなことをせず、机や台の上等に乗せて安置しましょう。
座ってお参りする場合は、ご本尊が目線よりやや上にくるようにします。
また、立ってお参りする場合には、ご本尊が胸の高さより上になるよう設置することをおススメします。
○直射日光、湿気
仏壇の多くが木製で、一部金属の部品が使われています。仏壇の中に飾られている仏具も同じです。
直射日光では漆やその他塗料が剥がれてきますし、その他パーツの劣化にも繋がりかねません。
また、湿気にも注意が必要です。カビやサビの原因になります。
仏壇を正しく飾ろう!!
仏壇は決して安いものではありません。
高価なものには多くの伝統工芸が使われ、工芸的な価値が高いものもあります。
また、そうした価値だけでなく、信じる人には先祖を祀る大事なものです。
そんな大切なものだからこそ、きちんとした位置に設置し長く使いたいものですね。
この記事がその助けに少しでもなればと考えています。