伝統工芸という言葉を聞いたことがある方は多いと思います。
でも、伝統産業という言葉はあまり聞きなれていないのではないでしょうか?
なんだか、伝統と産業って、水と油みたいに相容れない関係にあるような気もしますね。
でも実は、この伝統を産業とするというのは非常に重要なことなんです!
そこで今回は、伝統工芸と伝統産業の違いから、やがて伝統産業に至るのが何故良いのかという私なりの見解をご紹介したいと思います。
そもそも工芸って どういう意味?
工芸と言えば「芸術的」と思ってしまうのは私だけでは無いでしょう。実は、それで大体良いんです。
つまり、工芸とは、芸術的だけれども、実用性を兼ね備えた物を作る技術のことです。
そして、その技術で作られた作品を工芸品と言います。
最近では特に「伝統工芸とは芸術品」というのが、より意識されているような気がします。なんというか、実用品であることが、ポロッと抜け落ちているような感じです。
今や伝統工芸は「文化的な芸術」を意味するようになったのだと思います。
私としては、実用品としての性格はどこへ行ったんだという感じですが…。
でもこれは、伝統工芸が日常生活から遠ざかってしまった現在では、仕方がないのかもしれません。だって、使わなければ、実用品では無いですもんね?
伝統で産業するってどういうこと?
産業といえば、なんか工場で機械がガッチャンガッチャン何かを作っているイメージではありませんか?私の場合、そんな感じです。
でも、大抵の人がそんな感じだと思うんですよね。例えば、自動車産業とか、ロボット産業とか、やっぱり鉄と油って感じですね。
それだと何だか、伝統と産業のつながりが、よく分からない感じです。
でも、私としては、今や違和感は無くなっているんです。なにせ、伝統産業は、「伝統工芸という技術を用いる産業」という意味なんですから。
違和感を抱く人の場合は、伝統工芸に「芸術」としての認識だけで「実用性」が抜け落ちているせいで、「なんで芸術で産業しているの?」という風になっているからだと思います。これだと、繋がらないのも分かります。
しかし、私としては、どうしても繋がって欲しいんです!
だって、それは伝統工芸にとって、とても大事なことなんですから!
なぜ伝統産業に成らなければならない?
さて、伝統工芸を用いた産業が伝統産業ならば、そこで作られる製品は、伝統工芸品、少なくとも、伝統的工芸品と呼ばれて良いはずです。
ですが、その逆は成り立たないんですね。なにせ、ただの伝統工芸は、産業化されていませんから。
では、産業化とは何なのでしょうか?
これは私のイメージですが、それぞれ点として存在している経済活動が、線と線で結ばれて1つのまとまった経済活動になることだと思います。
それと、ここでは、経済活動を「ものづくり」と言い換えても良いかもしれません。
つまり、ただの伝統工芸とは、ぽつねんと独りで存在している小規模な「ものづくり」だというわけです。逆に、伝統産業はある程度、組織だって行われている「ものづくり」だというわけです。
さらに、今日の伝統産業は単に生産者同士が分業しあっているだけではありません。そこに、大学や異業種などからの知見が生かされて、新しい可能性を持った伝統産業になっているのです。
これは、伝統工芸が再び「実用品」としての価値を取り戻すことに必要不可欠なことだと思うのです。そして、そうしなければ「工芸」本来の意味から、どんどん遠ざかってしまうでしょう。
それはまた、伝統工芸の価値を大きく損ない、存在を危うくする気がします。
伝統工芸が伝統産業として発展!
・伝統工芸は芸術的価値を持った実用性のある製品を生み出す技術
・伝統産業は伝統工芸の技術を活かした産業
・伝統工芸は伝統産業となることで本来の価値を取り戻せる!
これが、今回ご紹介したかったことです。
そして、いずれ伝統産業が「文化的な産業」として受け入れられ、社会に新しい風を吹かせてくれたら良いなと思うのです。
そうすれば、日本の「ものづくり」は、もっと豊かな価値を持つのではないかと私は思います。