お正月にはその年の幸福を願って様々な祝い事や行事を行うものです。
初詣に参拝したり、おせちを食べたり、自分の運勢を上げるようなことをします。
年始ほど自分の占いや運勢ランキングを一生懸命見る期間は無いです。
縁起の良い場所に行くことや縁起の良いものを食べることはお正月では特に一般的です。
縁起の良さが伝わりやすいことが人気の要因の一つでしょう。
一方で、なんとなくお正月に見かける「めでたそう」な行事もあります。
この「めでたそう」な行事の代表こそ獅子舞です。
お正月のテレビ番組や地域のイベントで必ずといっていいほど見かけます。
筆者はお正月のニュース番組で獅子舞に泣いてしまう子供の映像を3年連続で見ています。
それほど獅子舞はお正月の風物詩として定着しているのです。
そんな獅子舞が、なぜめでたいかを知っている人は少ないです。
今回は獅子舞の起源と目的について分かりやすく説明していきます。
お正月の風物詩である獅子舞に対しての理解を深めましょう。
獅子舞について深堀してみよう!
まずは獅子舞の起源や由来について説明します。
【獅子舞の起源】
まずこの獅子舞の「獅子」はライオンを指しています。
古来よりライオンは日本にはおらず、インドやアフリカ大陸、ヨーロッパ付近に生息していました。
そのため、獅子舞自体が外来の文化ということになります。
そして獅子舞の起源とされているのはインドです。
インドの遊牧民がライオンを霊獣として崇め、ライオンの仮面舞踊を行なったことが始まりとされます。
このライオンの仮面舞踊がその後、中国や朝鮮半島、東南アジアへ広まっていきました。
日本へは7世紀初めに中国から獅子舞が伝来しました。
加えて東南アジアから沖縄へ獅子舞が伝播したルートも存在しました。
日本には元々動物を自然における神や主として崇める文化があった為、獅子舞の文化を受け入れる下地が出来ていました。
よってこの獅子舞の文化は、全国漏れなく、地域ごとに様々な変化を遂げていきます。
また日本で初めて獅子舞が行われたのは室町時代の伊勢の国(現在の三重県)と言われています。
江戸時代には「江戸大神楽師」や「伊勢大神楽師」といった楽団が全国各地を巡業し、より全国に獅子舞が広まりました。
この巡業において、現在につながるエンターテインメント性や芸能的要素が固まっていきました。
そしてお正月の祝い事や定番行事として全国で定着していき、現在に至るのです。
【獅子舞の目的】
さて、獅子舞が全国的な行事となった経緯を説明しました。
では、そもそもの獅子舞の目的について説明します。
前にも述べたとおり、獅子たるライオンは、霊獣と呼ばれる強く神聖な獣でした。
そんなライオンの力にあやかり、様々な厄災や悪魔を払うことが獅子舞の目的です。
日本で初めて行われた、室町時代の伊勢の獅子舞は地域を襲った大飢饉に対するものでした。
江戸時代に行われていた獅子舞の巡業もその地域の厄災や悪魔払いを行う為、庶民に人気だったのです。
ただ獅子舞を行うだけではなく、楽しめる要素を加えたり、地域特有の神々を模した「獅子」にするなど、様々な工夫がされました。
獅子舞に頭を噛まれる演出などもこの工夫からきています。
【獅子舞の種類】
獅子舞は日本で最も種類の多い伝統芸能と言われるほど、種類が豊富です。
なぜなら全国各地で様々な進化を遂げていったからです。
北は北海道、南は沖縄までしっかりと広まっている伝統芸能も珍しいものです。
そんな獅子舞も大きく分けて、二つに分類することができます。
まず「伎楽系」と言われる獅子舞です。
「伎楽系」は、主に西日本を中心に盛んで、通常2人以上で1匹の獅子を演じます。
よって複数人で大きな獅子をダイナミックに演じるのが特徴と言えます。
この「伎楽系」の中でも沖縄の獅子舞が、見た目からかなり特徴的で、他の獅子舞とは差別化されています。
白いフサフサの毛に覆われ、かなりダイナミックに動く特徴的な獅子舞です。
次に「風流系」と言われる獅子舞です。
「風流系」は主に関東、東北地方を中心に行われ、1人が1匹の獅子を演じます。
個人個人が獅子を演じ、複数の獅子が同じお囃子で踊っている姿が一般的です。
また「風流系」には獅子の頭でない、「獅子舞」が見られることが特徴です。
各地域で信仰の対象とされる動物を舞っています。
具体的には鳥取の麒麟獅子踊りや東北地方の鹿踊りなどは、地域信仰に合わせて変化したものとされています。
ぜひ獅子舞の恩恵にあやかろう!!
ここまで獅子舞の起源や伝播の歴史、その目的について説明してきました。
獅子舞が様々な国の文化を経て日本に伝わり、日本でも独自の変化を遂げてきたことが分かったでしょう。
地域ごとによって様々な顔つき、動きなどの違いを持つ伝統芸能は他にありません。
これからはそれぞれの獅子舞の違いに着目してみると、その地域を深く知るきっかけになります。
ぜひ機会があれば、実際に獅子舞を見て自分の厄災を払ってもらいましょう!