すごしやすい秋から寒い冬へと移り変わる時、ビューっと強く吹く風がそれを強く感じさせます。
そんな季節の変わり目に吹く木枯らしですが、いつの季節に吹くとされる風なのでしょうか?
今回は、この答えを木枯らしの語源や意味、そして季語を手掛かりに紐解いていきます♪
さらに、そもそも木枯らしが吹いたとどのようにして決められるのかも分かりますよ^^
語源や言葉の意味は?
木枯らしは秋の終わりから冬の始めに吹く、北寄りの強く冷たい風です!
ちなみに、木枯らしは女房詞ではすりこぎのことを指します。また、女房詞とは、室町時代に宮中に仕えた女房が使い始めた隠語が一般化したものです♪
これは、葉っぱのない木がすりこぎで、葉を落とすのは木枯らしという連想からきているとされます。
そして、まさに葉っぱを落とし木を枯らすほどの風から木枯らしと呼ばれるようになったのです!
なお、ここで言う“枯らす”は、花や葉が変色したり落ちたりするという意味合いです。
それと、木嵐(きあらし)が訛って、木枯らしになったという説もあります。
ただ、木が枯れたようになるという方が冬の訪れを感じられていい感じです^^
いつの季語?
木枯らしは冬の季語で、立冬(11月8日頃)の前後に吹く風なので特に初冬の季語です♪
なので、木枯らしが吹くことでいよいよ冬が始まったとされるのです!
そんな、冬の季語である木枯らしを使った有名な句は、次のようなものがあります^^
- 木がらしや 目刺しにのこる 海のいろ 芥川龍之介
木がらしの寒くて冷たい雰囲気に対し、海のいろに温かみが感じられます。また、のこるという言い方で、寒い季節にそんな暖かな海に思いを馳せる哀愁漂う句になっています。
- 凩や 海に夕日を 吹き落とす 夏目漱石
海に夕日を吹き落とすという表現から、もの凄い勢いの木枯らしが吹いているのが読み取れます。さらに、吹き落とすであっという間に暮れてしまう冬の季節感もでています♪
- 木枯に 岩吹きとがる 杉間かな 松尾芭蕉
杉の間を木枯らしが吹き抜け、その間の岩がより尖って見えるという句です。そして、とがるという言葉で風が鋭く吹く様と冬の身にしみる寒さが匠に表現されています!
ちなみに、この句は三河(現在の愛知県)の蓬莱寺山で詠まれ、実際に岩場が多い山です。
この様に、木枯らしの句は様々なものがあります。ぜひ、自分なりに情景を想像して見てください^^
いつ吹くの?
よく木枯らし1号が吹きましたなどとニュースになりますが、発表するのは日本で実は2か所だけなんです!
つまり、東京地方と近畿地方にその様な風が吹いた際に気象庁が発表します。また、発表機関は東京地方が東京管区気象台、近畿地方が大阪管区気象台です。
ちなみに、東京地方は天気予報の用語で東京都の島しょ部を除いた本土部分の全域を指します。
では、これ以外の場所に木枯らしが吹いていないのかと言うと、そうではありません。あくまで、気象庁が基準を作って発表しているのが2か所だけしか無いのです。
また、この2か所で発表される理由は、木枯らしの定義に合う風が吹き、人口が多く人々の話題に上ることが多いからです!
それと、気象庁が発表する際には木枯らし1号と呼び、初めて吹いたものだけが発表されます♪
なお、東京地方と近畿地方のそれぞれの木枯らし1号の基準は次の通りです。
【東京地方】
- 期間:10月の半ばから11月の末の間
- 気圧配置:西高東低の冬型で季節風が吹くこと
- 風向き:東京における風向きが西北西から北
- 風速:東京における最大風速が、おおむね8m/s以上
【近畿地方】
- 期間:霜降(10月23日頃)から冬至(12月22日頃)まで
- 気圧配置:西高東低の冬型
- 風向き:北よりの風(西北西から東北東)
- 風速:最大風速が8m/s以上
- これらを大阪、神戸、京都、舞鶴、彦根、和歌山、奈良のうち3地点以上で観測した場合
2か所の基準が微妙に異なるのは、木枯らし自体には何の科学的な定義もされていないためです。
そもそも木枯らしは、はるか昔から感じられてきた訳ですから、今更基準を設けるのも変な話でしょう^^
凩って何?
木枯らしは夏目漱石の句にもあったように、凩とも書かれます。
この凩は国字あるいは和製漢字とも呼ばれ、実は日本発祥の漢字なんです!
また、日本で生み出された字なので、日本の風土や文化の影響を受けた字が沢山あります。なので、国字を辿っていくと日本をより知ることが出来るのです。
さらに、漢字の作りが実に分かりやすく、簡単に読み取れるのも特徴になります^^
例えば、木を吹き枯らす風で凩、風を受ける巾(布きれ)で凧(たこ)、風が止むので凪(なぎ)とそのまんまです♪
季節の表現は面白い!
木枯らしは日本独特の表現で、様々な句にも季語として使われてきました。
つまり、文化とそこで育まれた言葉というのは密接に関係しているのです♪
なので、季節の表現を見つけたらどんな風に季節が感じられてきたかを考えてみると非常に面白いですし、そうすれば日本の文化をより深く味わえます^^