日本食にはお米が不可欠です。
寿司に丼もの、おにぎり、雑炊と、数えきれないほどの和食にお米が使われています。
また、お米が持つ、ヘルシーかつ高い栄養素が日本人の健康を支えています。
そんなお米に対しての日本人のこだわりは世界に比べて群を抜いています。
お米の品種の多さや品評会の評価の厳しさもそうですが、何より炊飯器へのこだわりが半端じゃないです。
どうやったら「ふっくら」で美味しいお米を家庭で食べられるか、日夜研究に励んでいるのです。
海外には炊飯器が売っていない国もありますが、日本ではかまどの火を再現することに必死なのです。
それほど国民的な食材といっても過言でないお米がどのように生産されているか、あなたはご存知ですか?
何となく想像できる人は多くいらっしゃるでしょう。
しかし、もはや日本を代表するお米のことを我々日本人はもっと詳しく知っておくべきです。
本記事ではお米の元になる、稲作の田植えから収穫までについて簡単にご説明します。
田植えから収穫までの道のりについて
稲作の田植えから収穫までを大まかな時系列で紹介していきます。
稲の品種によって若干の変動はありますが、基本的なスケジュールは今回紹介するものになります。
【4月〜5月】
まず4月には田植えの苗の元となる、「種籾(たねもみ)」の準備がメインになります。
稲作といっても、いきなり田植えから行えるわけではありません。
田植え体験などで準備された苗をよく見かけますが、あの苗まで育てる準備が必要です。
まず種籾の選別し、消毒や吸水させて育てていきます。
そして5月に入る頃には田植えの舞台となる、田んぼの整備に取り掛かります。
田んぼを耕し、適度に酸素を土壌に取り込み、その上で肥料を散布します。
他の農作と同じように、育てる場所の土壌は稲作の場合も重要になります。
その後、「代掻き」という田んぼの土を水平にする作業を行い、水を張って田んぼの準備は完了です。
その後、苗まで育てた「種籾」を田んぼに植える作業を行います。
これが「田植え」と呼ばれる作業になります。
田植えについてはあの独特な姿勢を見かけたことがあるでしょう。
この際は田植えの水は深めに設定します。
なぜなら田植えの時の苗はまだ小さく、病原菌にかかりやすいからです。
田んぼの水を深めにして、苗の根の付近を隠すことで病気にかかるのを防ぎます。
こうして植えたばかりの苗を保護しながら田んぼにて大事に育てていきます。
【6月〜7月】
6月に入ってからは周りに生えている草を刈り取る作業を継続します。
田んぼに生える雑草は稲よりも丈夫で、栄養素を根こそぎ持っていってしまう可能性があります。
稲をすでに植えた田んぼでは除草剤を大胆に撒くことも中々難しいです。
また、稲にとてもよく似た雑草に「ヒエ」というものがあります。
そのため、注意深く、人の手で刈り取る必要があるのです。
手間がかかりますが、これを怠ると稲がしっかりと育たなくなります。
そして苗の成長度合いを見て、6月下旬ごろに「間断灌水」を開始します。
それまで田んぼの水は苗を保護するために水深めにしていました。
ここから苗の根に酸素を供給するために、田んぼの水を浅めに貯めた状態と乾燥した状態の二つを繰り返します。この水の増減を繰り返す作業が「間断灌水」です。
その後、7月初旬ごろには酸素の供給を受けた稲には「幼穂(ようすい)」という、お米の赤ちゃんのようなものができます。
稲を育てて一つの稲にこの幼穂を多く実らせることが重要になります。
その為、田んぼの水を乾燥させる「中干し」を7月下旬に行い、苗の茎の数を限定します。
苗の茎の数を限定し、特定の稲に栄養を集中させます。
【8月〜9月】
8月には「出穂(しゅっすい)」といって、多くの稲穂が実ります。
その後、稲穂をより成熟させるために虫や病気から注意深く保護します。
そして約1ヶ月成熟させた後、9月には田んぼの水を全て抜いて収穫に備えます。
そして稲穂を収穫します。
収穫の際にはノコ鎌という鎌を用いて稲を刈り取り、10から15株毎に束ね、自然乾燥させて余分な水分を飛ばします。
その後、脱穀して稲穂から籾を取り出します。
籾摺りを行い、籾から玄米を取り出すことができます。
この籾摺りの作業にて、「稲」から「米」に呼び名が変わります。
これをそのまま、食べるご家庭もあれば、精米して白米を食べる家庭もあるでしょう。
種籾の準備から収穫まで、ここまで約180日ほど手塩にかけて育てられたのがお米なのです。
多くの苦難を乗り越えた「お米」に感謝しよう!!
お米という漢字を解体すると「八十八」という数字になります。
この八十八という数字は、お米にかかる工程の数とも言われています。
最近では機械の導入で作業もだいぶ楽になりました。
しかし、お米にかかる日数は大幅に変化した訳ではありません。
また、お米自体が非常にデリケートで、人の目が必ず必要な作物でもあります。
そんあデリケートな作物を国民的な食材として味わえていることに感謝して、今日もお米を食べましょう!