先祖の供養?性の行事?平和の踊り?「盆踊り」の深すぎる歴史!!

夏の風物詩の一つ「盆踊り」。

阿波踊りのように芸術性の高いものから、JPOPやアニソン、時には洋楽も踊られる盆踊りですが、最近ではイヤホンで音楽を聴きながら踊る「無音盆踊り」なるものまであります。

しかしながらこの「盆踊り」一言では言い表せない、意味や歴史、文化があります。

今回はその深い「盆踊りの歴史」について解説していきます。

盆踊りの歴史

踊念仏

そもそも盆踊りの始まりはどういったものだったのでしょうか?

盆踊りの起源は「踊念仏(おどりねんぶつ)」だと言われています。

あなたもおそらく教科書で見たであろう「一遍上人(いっぺんしょうにん)」で知られる「踊念仏」です。

ただ最初に始めたのは一遍上人ではなく、「空也上人(くうやしょうにん)」という方だったようです。

その踊念仏と先祖を供養する行事、盂蘭盆会(うらぼんえ)が融合し「盆踊り」となったとされています。

ここまで見ていると初期の盆踊りは凄く宗教的な気がしますね。

実際に初期の盆踊りは死者の供養の意味合いが強かったため、新盆を迎える家に人々が赴き、家の前で輪を作って踊り、家人は踊り手を御馳走でもてなしたりしていました。

また、盆には死者が家に帰って来るという考え方から、頬被りをして人相を隠し、死者の生き返った姿に扮した人がその物語を演じたとされています。

現在のアニソンや洋楽を使った盆踊りからは想像がつきませんね!

とにかく派手な「風流」との融合

風流踊り

ではどうして今のような娯楽メインのイベントになったのでしょうか?

そのヒントに「風流(ふりゅう)」という文化がありました。

風流とは、中世以後の日本で人気となった美意識の1つで、人目を驚かすためにとにかく派手に大きく躍動的にするというもので、シンプルを極めた「侘び寂び」文化の真反対のものでした。

その代表例に「風流踊り(ふりゅうおどり)」があります。風流踊りは、きらびやかな衣装を着て、集団で踊って人目を引くようなものでした。

これは浴衣を着て踊る、今の盆踊りに通ずるものがある気がしますね!

そしてこの「風流」が盆踊りと結びつき、宗教性よりも娯楽性が意識されるようになったようです。

盆踊りのピークは江戸時代!?

江戸

そんな盆踊りですが、最も人気の行事の一つとしてピークを迎えたのは「江戸時代」でした。

「江戸時代」は250年以上も長きにわたって平和な時代が続いたとされる世界にも類を見ない時代です。

諸大名に対しての法律「武家諸法度」や、外国勢力から国を守る「鎖国令」といった制度のおかげで平和な世が長く続きました。

そのため江戸時代は、文化が大きく花開き、生活様式や社会秩序も成熟期を迎えた時代でもありました。

盆踊りもその平和な時代の恩恵を受け、大きく発展しました。

この時代の盆踊りはかつての宗教性はほとんど消え、娯楽性が強く独特のものになっていました。

その独特性たるや、現代からは考えられないものでした。

日本の「性」と盆踊り

盆踊り

なんと江戸時代の盆踊りは男女の出会いの場となっていたのです。

しかも現代から見ると決して健全ではない、乱れまくった行事だったようです・・・。

江戸時代の性の事情についてはこちらの記事を参考にして下さい。今では考えられないほどの乱れっぷりだったようですよ♡助平さん必見です!笑

さらにこの時期の盆踊りは江戸では7月くらいから踊りを始め、10月くらいまで毎晩踊っていたようです。

・・もう、色々とカオスですね。

ただ当時の日本人の「性」の価値観は現代とは違い、「性」を神聖なものと考えていました。

男女の出会いは盆踊りやお祭りといった、神聖な日にこそできると考えていたのです。

そして、お祭りの日に出会った人は特別なご縁だということで、ほとんどの人がお祭りの日に出会った人と結婚していたようです。

しかし、明治維新後西洋の文化や価値観が日本に入ってきた際に現代のように「性」は隠すという価値観が入ってきました。

実際に明治維新後の明治時代には風紀を乱すという理由のもとに、盆踊りは警察に厳しく取り締まられるようになってしまいました。

こうした歴史を見ると現代の日本人の価値観はかなり海外の影響を受けているようですね。

盆踊りその後

盆踊り

その後、盆踊りは大正末期に農村娯楽として奨励されはじめ、今まで盆踊りがなかった地域も新たに盆踊りを作るなど再び人気を博しますが、戦争がはじまると遊興の禁止や時流の中で盆踊りも停止となり、盆踊りの文化は衰退します。

やはり江戸時代のように平和でないと盆踊りも発達しないようですね。

確かに踊っている場合ではないですもんね(^^;)

そして終戦、終戦後はすぐさま各地で盆踊りの復興が見られました。

そして今日のように伝統的な盆踊りや、JPOPやアニソン、時には洋楽といった一般の人にもなじみ深い音楽でも踊られるようになったようです。

平和の踊りとして

盆踊り

初めは‟先祖を供養する踊り”として、そして時には‟男女の出会いの場”として、といったように時代に合わせて変化してきた盆踊りですが、どんな時代でも平和でなければ踊ることはありませんでした。そういった意味では「平和の踊り」とも言えるかも知れませんね。

どうかこの先の時代も平和に盆踊りが踊れますように・・・。

人気ブログランキング

おすすめ記事

  1. Difference between castle and fort
    日本各地には、様々な城があります。また、そんな城はその土地のシンボルになっていたりします。一方で…
  2. 木枯らしはいつの季語なの?
    すごしやすい秋から寒い冬へと移り変わる時、ビューっと強く吹く風がそれを強く感じさせます。そんな季…
  3. バレンタインとコロナ禍
    毎年1月中旬ころになると、様々なバレンタインのチョコがお店に並び始めます。コロナ禍で緊急事態が宣…
  4. 日本食 栄養
    無形文化財にも指定された日本食。和食とも言いますね!皆さんは日本食を習慣的に食べることはあります…
  5. The Tale of Genji Overseas Reaction
    日本人で源氏物語を全く知らないという人はいないハズです。あまり詳しくなくても一度は聞いたことがあると…
  6. 御朱印と効果
    神社やお寺に参拝すると、心が洗われるような清々しい気持ちになりますね。帰りにお守りを買っていこう…
  7. 醤油
    和食は今や世界的にブームになっている料理です。2013年にはユネスコの無形文化遺産として、「和食…
  8. おりん
    「おりん」、「りん」と聞いてピンとくる方は中々いないと思います。ただ、仏壇に置いてあるチーンと鳴…
  9. 風鈴がうるさいときは警察を呼んでもいい?
    そよ風に揺れる風鈴の音は、暑い夏にひとときの涼を感じさせてくれます。風鈴の優しい音色は、風の涼し…
  10. 作務衣 デニム
    作務衣ってなんか古臭いイメージが有るなんて思ってませんか?そんな方におすすめなのが、デニム生地で…




PAGE TOP