日本の古い街並みに焦がれ想いを馳せるー。
古民家や蔵のある通りをゆっくりと歩く時間は素敵ですね。
筆者も古民家カフェやショップがあると、つい目を奪われてしまいます。
そんな折、ふと「古民家と町屋って違うの?」という疑問が湧きました。
そこで今回は古民家と町屋の違いについて掘り下げてみたいと思います☆
町屋の定義と有名な町屋
町屋(まちや)とは、民家と商家を兼ねた住家のことを言います。
通りに面して均等に各店舗が並び、家の奥は生活スペースになっています。
城下町や宿場町、門前町などに多く建ち並び、建築技術や意匠の水準が高い建物です。
入り口には商品を陳列するための土間や、火災を防ぐうだつなどの特徴がみられます。
江戸時代には、間口(入り口)の広さによって税金が課されました。
そのため間口を狭くし、奥へ長~く続く「ウナギの寝床」のような町屋が登場したのです。
かつては江戸にも多くの町屋がありましたが、大地震や戦争、経済成長などにより姿を消しました。
せっかくの歴史的建造物なのに、残念ですね☆
古民家の定義と活用
一方、古民家には明確な定義がありません。
国が制定する文化財登録制度では、築50年以上の木造建築で、釘などを使わない建物とされています。
全国古民家再生協会は「昭和25年の建築基準法の制定時に既に建てられていた住宅」と定めています。
どちらも伝統構法であることが条件で、大きな梁や柱、組木、接木など匠の技が活かされた建物です。
確かに古民家はノスタルジックな空間が心地よく、囲炉裏の煙で燻された梁や柱の色合いが素敵です♪
同じ築50年であっても、古民家とただ古いだけの家は違うということですね。
現在も人が生活している町屋
新潟県の村上市には、実際に町屋で生活している人々がいます。
ここは、むらかみ町屋再生プロジェクトと銘打ち、行政に頼らず住民の力で町屋を再生させた場所です。
平成21年には、村上商人会・黒塀P・町屋再生Pが内閣総理大臣賞を受賞しています。
全国各地の方々より寄付を募り、城下町の町屋を復活・活性化させました。
今では観光客が徒歩や自転車で町屋を散策し、買い物や食事などを楽しむことができるまでに♪
かつて江戸時代に生活していた人々を想像しながら、町屋を体験してみてください。
他にもあるおすすめの町屋
町屋で有名な観光地には、京都や大阪、小京都と呼ばれる高山市などがあります。
なかでも筆者がおすすめするのは、岐阜県美濃市や郡上市にある町屋です。
こちらの町屋はうだつのあがる町並みとしても有名で、全国から多くの観光客が訪れます。
うだつは、資金力がある家でなければ建てることができませんでした。
うだつをあげる(儲けを出す、出世する)という言葉はここからきてきます。
うだつのあがる町並みの町屋には、さまざまなうだつ飾り(化粧瓦)が設けられています。
特に美濃市は和紙の産地として栄え、多くの豪商が暮らしていた町。
歴史的にも価値のある建物が立ち並ぶ観光名所です♪
建物の中で使われている家具にも注目
町屋の建物と同じく、注目したいのは、実際に使用されていた家具類です。
なかには今でも大切に使われているものもあります。
現代の大量生産された家具ではなく、職人の手でひとつひとつ丁寧に作られた家具たち。
使い込まれた木材や塗料の風合いは、時を経た道具ならではの味わいです。
取っ手や装飾など、細かな部分にも職人のこだわりが見られ、繊細な日本人気質がうかがえます。
町屋を見てさまざまな学びを得よう
その他、壁や瓦、使われている素材、技法など、町屋からさまざまな日本建築を学ぶことができます。
物が無い時代に、知恵と巧みな技術で日本の産業を支えた町屋。
地震が多い現代でも残るほどの強さも備えています。
また、建物だけでなく、町屋が建っている周辺も見学してみてください。
武家や商人、その町に住んでいた人たちに想いを馳せ、タイムリープ気分を味わいましょう♪
似て非なる町屋と古民家
どちらも江戸時代まで遡るほど古い建物で、価値のある日本家屋。
ですが、元々の成り立ちが異なることが分かりました。
あとは、実際に町屋を訪れ、ご自分の目と肌で体感し、ぜひ町屋を楽しんでくださいね☆