日本では、春分の日と秋分の日は祝日です。
そして、お彼岸のお中日でもあり、お墓参りに行く期間でもあります。
でもなぜ、お彼岸に墓参りに行くのでしょうか。
また、彼岸にはどんな意味があるのか、今回はお彼岸について詳しく調べてみました。
お彼岸とは?
彼岸(ひがん)は、簡単に説明すると、あの世のことです。
亡くなられた方が、三途の川を渡って行く場所です。
対して、この世(現世)を此岸(しがん)といいます。
三途の川を境に、此岸と彼岸、生者と死者の場所が分かれます。
彼岸の由来
彼岸は、古代インドのサンスクリット語で「波羅密多(はらみた)」が由来という説があります。
お彼岸の起源は仏教なんですね。
仏教では、極楽は西にあると考えられています。
西に神と仏の国あり?
西は太陽が沈む場所。
さらに日本は神国で、太陽信仰があります。
亡くなられた方が行く悟りの世界(彼岸)は、西にあり、太陽が沈む方角も西。
西には、極楽浄土があり、太陽を祀る方角という考えが、お彼岸の由来となっているのです・・・が!
実は、お彼岸に墓参りをしたり、彼岸法要をするのは日本独自の風習です。
仏教の本家・インドに彼岸法要がないのは、太陽信仰(神道)が結びつかないからです。
お彼岸の期間は?
春分の日と、秋分の日は、昼と夜の長さが同じになります。
春分や秋分を中日(なかび、ちゅうにち)と呼ぶこともあります。
「明日はお中日だからね」と言われたら、翌日は、春分の日か、秋分の日と覚えましょう。
中日(春分・秋分)を中心とし、前後3日間を含めた7日間がお彼岸の期間です。
お彼岸に墓参りをするのはなぜ?
此岸(現世・この世)では、煩悩や迷いに苦しむ生者が修行をする場所です。
そして、この世で人生の修行を終えた方々が向かう場所が、彼岸(悟りの境地)。
お彼岸は、此岸と彼岸が一番近くなる期間で、彼岸に辿りついたご先祖様と通じやすくなります。
お盆はご先祖様が里帰りする期間、お彼岸はこちらからご先祖様に会いに行く期間ですね♪
お盆とお彼岸の違いについては、こちらの記事も参考になさってくださいね。
お彼岸の墓参りに持参する花は?
春のお彼岸と秋のお彼岸では、咲く花の種類が異なります。
一般的に、墓参りに用いる花は、
・トゲがある花
・匂いが強い花
・毒がある花
を避け、2束(対)を用意します。
日持ちがよい小菊のほか、春はカーネーションやフリージア、スイートピーなどがおすすめです。
秋は菊、小菊、リンドウ、キキョウ、ユリなどが多く用いられます。
ヒガンバナはダメ?
彼岸と聞いて、赤いヒガンバナ(曼珠沙華:マンジュシャゲ)を思い浮かべる方もいるでしょう。
秋のお彼岸の時期に咲く花で、有毒の多年草です。
また、数々の異名を持つ花としても知られています。
葬式花、死人花、幽霊花、地獄花などなど。
恐ろしげな名前を持つうえ、有毒なので墓参りには向きません。
筆者もヒガンバナを見かけると、ついビクッとしてしまいます・・・。
お彼岸のお供えは「おはぎ」「ぼたもち」
お彼岸の墓参りでは花と線香を供え、仏壇にはお供え物をしますね。
春は「ぼたもち」、秋は「おはぎ」。
春は牡丹の花が咲くころ、秋は萩の花が咲くころ、という説を聞いたことがあるでしょうか?
牡丹の花や萩の花の姿に見立てたという説もあります。
実はこれ、春夏秋冬で呼び名があったんです!
・春の牡丹餅(ぼたもち)
・夏の夜船(よふね)
・秋の御萩(おはぎ)
・冬の北窓(きたまど)
4つ揃うと、ちょっとオシャレで高級和菓子のような印象になりますね♪
他には、「こしあんと粒あんの違い」「米粒の粗さ」という説も。
また、あんころもちと呼ぶ地域や、ずんだもち、ごまもちも含むなど、地域で扱いが異なります。
お墓がない場合は?
近年は家族や親族に迷惑をかけたくない、墓を守る人がいないといった理由から墓じまいをする人も。
墓じまいとは、墓内のお骨を取り出し、お墓を撤去した後に、墓地を管理者に返還することをいいます。
また、お墓は「墓地埋葬法」という法律があり、自宅の庭などであってもお骨を埋めることはできません。
では、お墓がない方の墓参りはどうしたらよいでしょうか。
永代供養されていないか確認を
お寺や霊園などに管理費を払い、納骨堂などでお骨が管理されていないか確認してみましょう。
永代供養されていれば、そのお寺や霊園に行き、ご先祖様に手を合わせることができます。
彼岸会にお寺へ
お彼岸は、仏教の各宗派で彼岸会(ひがんえ)と呼ばれる法要が行われます。
自分の家の宗派が分かる方は、その宗派の彼岸会に参加するのもおすすめです。
宗派が分からない、無宗教という方も、お近くで彼岸会法要が行われるか確認してみましょう。
散骨、樹木葬という場合も
海や山など、好きだった場所に散骨、埋葬を希望する方もいます。
ただし、法律上、好きな場所に勝手に散骨、埋葬することはできないので注意が必要です。
場所が分からない場合は、故人の好きだった場所で静かに合掌し、心の中でお参りしましょう。
大切なのはお参りする「心」
お彼岸の墓参りの時間帯は、午前中がよいという説もありますが、大切なのは心です。
もともとお彼岸は、煩悩や迷いのない悟りの世界へ到達するための修行の期間でもあります。
これを機に、春分や秋分を含む二十四節季や、お彼岸について学んでみてくださいね☆