あなたは蚊帳というものをご存じでしょうか?
寝る時に、蚊や虫を防ぐために麻や布でできた網を寝床に吊り下げたものです。
実際に使ったことのある人は、もしかしたら少ないかもしれません。
もし、蚊を防止したいなら、蚊取り線香や防虫剤を使用すればいいだけですから、蚊帳よりもそちらの方がなじみが深いですよね。
私自身も蚊帳を使用して、就寝したことはありません。
しかし、なぜ蚊帳を知っているのかというと、ジブリの『となりのトトロ』で見たことがあるからです。
最初に見た時は、いったい何のために使うものなのか分かりませんでしたが、親と一緒に見た時に教えてもらいました。
そこで、この蚊帳というものについて調べてみました。
歴史はかなり古く、最新の蚊帳もあるので紹介していきます。
蚊帳の歴史
蚊帳ができたのは、紀元前6世紀。
中東で始まったものが、中国を経由して日本に入ってきました。
蚊帳とは、絹や麻などの目が粗い布を寝室や天蓋の天井から紐を使って垂らして使います。
中国を経由して入ってきた奈良時代では、絹や麻は高級品であったため、一部の上流階級のみが所有できる高級品でした。
まずは、近江や奈良を中心に取り扱われ、日本特有の進化を遂げていきました。しかし、一般庶民の間で蚊帳が流行り始めたのは、江戸時代に入ってから。それまでは、庶民は蚊よけに和紙を使って夏を過ごしていたようです。
江戸時代に入ると、麻が庶民にも普及し、それと共に蚊帳も広がっていきました。「蚊帳の祝儀」と言われる、嫁入り前に蚊帳を新調するという文化も出来上がるほど。
明治時代に入ると、外国から紡績糸、木綿素材のものが輸入されるようになっていきました。木綿は麻に比べ、通気性にすぐれていることから瞬く間に麻の蚊帳から木綿の蚊帳へチェンジしていったのです。
蚊帳は蚊の侵入を防止するだけでなく、涼もとれるということで長く日本の夏の風物詩として愛されてきました。そして、この蚊帳の使用は1970年代にピークを迎えましたが、扇風機やエアコンの発達により徐々に姿を消していきました。
現在の蚊帳
電気を使わず、殺虫剤のような化学薬品も使わない蚊帳は、地球と体に優しいとされ注目を浴びています。
カラフルでインテリアとしても使えるようなものから、底つきでムカデのような害虫の侵入を阻止することもできるようになりました。
なかなか、ムカデが侵入してくるような環境で眠りについたことがないので想像がしにくいのですが…。
しかし、蚊帳をネット通販で調べてみると底つきのものが主流のようですね。
さらに、蚊帳は一般家庭での利用だけにとどまりません。
住友化学は、マラリア対策として防虫剤が練りこまれた蚊帳を開発。
もともとは、工場の網戸用として開発していたものをマラリア対策用に方針変更したのです。
この成果は、2001年にWHOから世界で初めて長期残効型蚊帳としての効果が認められており、約100か国に供給されています。
マラリア対策用の蚊帳の詳しい詳細は下記の住友化学の公式HPをご覧ください。
多様な使われ方
昔の蚊帳の使い方は、天井や柱に釘を打ちつけて、そこに蚊帳をひっかけ吊り下げて使用していました。
しかし、現在では細かな用途が増えており、以前のように吊り下げる必要がなくなっています。
その多様な使われ方について紹介していきます。
【自立式の蚊帳】
屋内用の蚊帳でよく使用されている形状です。
柔軟性のある素材でワンタッチ式で簡単に収納ができるようになっています。
従来の吊り下げ式の蚊帳を片付ける時、大きな布を折りたたむような方法でやらなければなりません。
それと比べるとかなり楽に片付けができるようになったと言えるでしょう。
【アウトドア用の蚊帳】
マンション住まいの人が増えてきた今、虫の危機を感じるシチュエーションはアウトドアの時だと思います。ですが、川遊びやBBQの休息地としてテントを設営する際、蚊帳付きだと心配がありません。
また、若い時のようにずっと遊ぶことができなくなってくると昼寝も必要。
安眠できるスペースを確保することが長く楽しく遊ぶ秘訣だなと最近感じました。
【赤ちゃん・子供用の蚊帳】
小さなベッドにも使用できるタイプの蚊帳です。
また、おもちゃで遊べるような大きさのものも用意があります。
このタイプで多い特徴が、洗濯が可能であるということ。
小さな子供は何でも口に入れたがるので、蚊帳を触った手やおもちゃを口にいれてしまうことがあります。
その際に汚い蚊帳であればお腹を壊す可能性もあります。
そのため、洗濯可能であることは保護者にとってメリットがあると言えるでしょう。
虫と暑さからのバリア
蚊帳は古くから日本人を虫と暑さから守ってきました。
現在は、環境の点において人も地球も守ってくれる代物になっています。
時代が変われば、家電はどんどん進化していきます。
しかし、蚊帳のように最初のころの姿をほとんどそのままに残しながら現在も使われているものは珍しいのではないのでしょうか?
この記事を読んで、蚊帳を使ってみようかなと思ってくれる人ができたらうれしいです。