伝統工芸の特集などをテレビなどで見かけると、そこに出てくる職人さん達って、結構な頻度でご高齢者の方が多いですよね。
そういうのを見ると、後継者不足が本当に深刻なのだなと思ってしまいます。
というより、特集自体がそれに関するものだったりします。
私自身、この問題は非常に関心があったのですが、よくよく調べてみると、その理由こそ本当に大事な問題だったのです。
今回はそれを紹介していきたいと思います。
若者にやる気がなく続かないというのは本当?
「やる気が無い、根性が無い、意欲に欠ける。」こんなことを特にゆとり世代と言われる私はよく聞きます。意識しすぎなのかもしれませんが。
とにかく、そこから導き出される結論として、厳しい職人の世界で今の若者はやっていけないと言われます。確かに、そういう人はいるのかもしれません。
でもちょっと待って下さい。世の中には、そういった伝統工芸の職人だけでなく、他にも職人的な専門職はありませんか?例えば、医者とか弁護士とか。
これらの職業が伝統工芸の職人の世界に比べて優しい訳はないと思います。一人前になる修行期間だって変わらないはずです。
むしろ、医大を出てすぐにブラックジャックみたいになったら怖すぎます。それこそ漫画の世界でしょう。
けれども、これらの職業が人手不足になっても、後継者不足になったとは聞きません。つまり、このことは関係ないと思われます。
後継者不足になる根本的な1つの問題
さて、時に身の回りに伝統工芸はありますか?私の場合、探せば見つかるくらいでしょうか、それでも、それほど多くあるわけではありません。
そして、これこそが根本的な問題なのです。つまり、圧倒的な需要の低下、これが伝統工芸を衰退させ、かつ後継者不足に陥らせているのです。
さらに、伝統工芸と聞くと高級品のイメージはありませんか?職人さんが丁寧に仕上げた至高の逸品、値段もそれなりにする感じが。
要は、日常にある手頃な品物は、最早、伝統工芸による物では、なくなってしまったのです。なので、むしろ、伝統工芸は高級品に偏ることになってしまったのです。
しかし、考えても見てください、そんな高級品、どうやって修行したての人に作れるというのでしょうか?まあ、無理です。私なら心がバッキリ、ボッキリ折れて、砕けます。
というわけで、後継者になろうとした人は、ここで金銭面の問題にぶち当たることになります。修行期間の間、何を売って、どうやって飯を食っていこうかと。
こんな状況下では、後継者になろうとした人がやめていってしまったり、そもそも飯が食え無いからと、修行することさえ断られてしまったりするのです。
それでも残したい伝統工芸
そんなわけで、需要が減ってしまった伝統工芸なのですが、そもそも残す必要はあるのでしょうか?だって需要が減ったのは、つまり必要とされなくなったという訳ですから。
確かに一理あるかもしれません。でも、私は、これに絶対反対します。それは、伝統工芸というものに間違いなく残すべき理由があるからです。
そもそも、一つ一つの技術は、ある物事を解決する様々な可能性の中から、その時代に最適な方法が選び抜かれたものです。
逆を言えば、時代が変われば最適な技術は変わって行きます。その最たる例が伝統工芸なのです。
ですが、この最適という考え方は、これからの時代にそぐわなくなってくるのではと、私は考えます。なぜなら、これから世界はより多様化していくからです。
そうなってくると、これからはより多様な技術を社会の中で保存していく必要があるのではないでしょうか。そうしなければ、この情勢に対応できないでしょう。
そして、伝統工芸とは、昔から受け継がれた、我々の技術の基盤といえるものだと思います。これ以外に、多様な技術の受け皿になるものがあるでしょうか?私はないと思います。
まとめ
1. 後継者不足は、成り手の問題ではなく伝統工芸自体に問題がある
2. 需要不足こそ、伝統工芸の真の問題
3. 伝統工芸の危機は、これからの日本のものづくりの危機でもある
これら3つが伝統工芸の後継者不足の問題であり、その背後にある真の問題なのです。
私としては、まず、身近に伝統工芸を集めていきたいなと思います。
みなさんもどうでしょう、日々の生活が潤いますよ。