落語家大川亭さくら

落語の演目の数え方!落語が何十倍も楽しくなる日本特有のモノの数え方の基本!

日本では対象物によって数え方が変わりますね。

英語ならワン、ツー、スリーで済むのに、日本の場合はそうはいきません。

人は「〇〇人」、物は「〇〇個」と決まっていれば簡単なのですが、同じ物であっても違う数え方をすることもあります。

例えば「家」は、一軒、一戸、一棟(ひとむね)と場合によって数え方が変わります。

また、あまり知られていない単位もあります。

銀行やエレベーター、神社に山…それぞれに数え方があるんです。

落語もそう。実は「一席」以外にも数え方があるんです!

本記事ではそんな落語の数え方について解説していきます。

ありすぎる数え方

社会人落語日本一決定戦
お笑いを一席というくらいですから、落語は一席、二席…と数えます。また一題、二題…と数える場合もあります。しかし、噺=話なので、一話、二話…でもいいような気がしませんか? 

実際のところ、この数え方は今でも議論が続いています。 筆者の体験では、一話、二話…という数え方をする寄席や独演会はありませんでした。

代わりにひとつ、ふたつ…という数え方はありました。でも一般的にはやはり一席、二席…が多いですね。

さらに、演目とは言うのに一目、二目…とは言わないのが不思議です。 厳密には決まっていないのですが、結論から言うと「席」か「題」と数えた方が無難です。実際にテレビやラジオのアナウンサーも両方使っていますよ。

時の数え方

落語家中家すゞめ
現代では時間は24時間と決められているので、アマゾンの奥地や秘境など、時間を単位として扱わない場所でない限り、24時間制が通用します。

しかし、古典落語に出てくる江戸時代は24時間制ではない上、時間の感覚も現代とはちょっと違います。

まず、時間とは言わず、「時(とき)」、または「刻(こく)」と言います。

演目「時そば」で有名なセリフでも「店主、いま何時(なんどき)でぇ?」と尋ねています。

「時」を訪ねるのがこの演目の要なので、初心者の方はまず、江戸時代は何時(なんじ)とは言わないと覚えておきましょう。

◯時間の単位

江戸時代の風景
江戸時代では24時間ではなく12時間単位で生活をしていました。

数え方はネ、ウシ、トラ…という、いわゆる干支です。方角を干支に見立て、太陽が上る方角、沈む方角で時を数えていました。

また、江戸時代は現代とは違い、おおまかな考え方で生活をしていました。電気が無いので、陽があるうちは昼、暗くなったら夜、人に時を聞かれたら「刻」または「時」で答えていました。

時で数える場合は、「五つ時(いつどき)」や「八つ時(やつどき)」といった数えかたをします。実は現代の「おやつ」は「お八つ時」が由来なんです。

また、刻の数え方で有名なのは、牛の刻参りですね。牛の刻(午前1時から午前3時ごろ)に行う呪いの儀式ですが、今でも白装束を着て、この儀式をする人が居るそうですよ。

お金の数え方

江戸の風景
江戸時代はお金の単位も違います。時代劇でよく出てくるのは「両」や「文(もん)」でしょう。

町人が使用するお金の単位は文や分(ぶ)が殆どで、一両、二両…となると結構な大金だったんです。

ちなみに時そばに出てくる蕎麦の代金は十六文です。筆者もこの記事を書くまで気付きませんでしたが、江戸の硬貨は穴が丸ではなく、四角ですね〜^^; 気付いていましたか?

江戸のお金

数の数え方

江戸の風景
数は今でも使うので一番分かりやすいと思います。

とはいえ、イチ、ニ…と数えることが殆どで、ひぃ、ふぅ、みぃ…と数える人はなかなかお見かけしませんが…。 江戸時代は1~10を数えるのに、ひ、ふ、み、よ、いつ、む、なな、や、こ、とお、と数えました。時そばでもこの数え方をしています。

他にも1番目のことを「はな」と言ったり、月末のことを「みそか」と言ったりします。大晦日は1年の最後の月末なので大晦日なんですね。

三題噺

順光寺落語会2016
さて、演目の数え方に話を戻しましょう。

落語には「三題噺」というものがあります。これはお客様に適当なお題を3つ出してもらい、その3つのお題を含んだ話を即興で作って演じることを言います。

この三題噺は、大手マスコミの採用試験でも出題されることがありますが、Webライターの業界でも同様な案件を手掛けることがありますので、意外と身近な存在だなぁと感じます。

そして、この場合は三題噺を一席…と数えたほうが間違いないですね。

日本は複雑

江戸の暮らし
外国人の中には、現代でも「日本の数の数え方」に戸惑ったり混乱する人がいます。

動物だけでも種類によって数え方が違うのに、物によっても数え方が違うなんて…。

確かに、犬猫は匹、ウサギは羽、ゾウは頭といった具合では、慣れるまで混乱しちゃいますねf^^;

考えてみると日本は西暦とは違い、年号もたくさんあります。それでも私たち日本人は、明治以前の年号でも歴史で習うので、ある程度は覚えています。

これほど数を数えるために単位が分類されている国は世界的にも珍しい国です。そう考えると何だか誇らしいですね。

そういえば、冒頭で語った例ですが、数え方は以下のとおりです。

◯銀行 → 行(こう) 
◯エレベーター → 基(き)、台(だい) 
◯神社 → 社(しゃ)
◯山 → 座(ざ)、峰(ほう)、山(ざん)、岳(がく) 

ぜひ参考にしてくださいね。

そして、寄席や独演会に行って、実際に数えてみてください。今日は何席聞けるかな?

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