毎年ニュースや雑誌で紹介される、サラリーマン川柳。
その他の場でも、子どもから大人まで年齢を問わず、秀逸な作品が多く投稿されています。
中でも企業が多く募集しているのが川柳です。
ん? 俳句と川柳って、どう違うんだっけ??
そこで今回は、俳句と川柳、短歌や狂歌などの違いを調べてみました。
俳句や川柳って何だろう?
俳句や川柳は、日本語を巧みに扱う素晴らしい文化です。
ではまず、俳句と川柳の違いをご紹介しますね♪
●俳句
俳句は17文字の中に季語(季節を表す言葉)を入れて、景色や情景を綴る歌です。
リズムは、5字、7字、5字と区切ります。
・言葉の数:五・七・五の十七音
・ルール:句の中に季語をひとつ入れる(有季定型)、文語(書き言葉)を使う
例:古池や 蛙飛びこむ 水の音(松尾芭蕉)
●川柳
実は川柳も、5字、7字、5字の17文字で作る歌なんです。
え? だったら俳句と川柳はどう見分けるの? という疑問が湧きますね。
俳句は17文字の中に季語を入れる、技法を用いるという決まりがあります。
川柳も同じ17文字で作りますが、季語を入れたり、技法を用いるという決まりはないんです。
作り方では、俳句が文語を使うのに対し、川柳は口語(話し言葉)を使うという違いがあります。
また、俳句が景色や情景を詠むのに対し、川柳は世相や人情などを面白く詠むという違いもあります。
・言葉の数:五・七・五の十七音
・ルール:口語を使う
例:会議数 減らせないかと 会議する(サラリーマン川柳・働かない改革さん作)
思わずクスッと笑ってしまうような世相を表す歌が川柳なんですね♪^^
短歌と狂歌の違いは?
短歌はともかく、狂歌という字面はちょっと怖い気もしますね。
では、この二つの違いをご紹介します☆
●短歌
短歌は、31文字で作る和歌のことです。
近世まで日本の歌全般を和歌と呼んでいましたが、現代では和歌=短歌という扱いになっています。
リズムは、5字、7字、5字、7字、7字、と区切ります(五・七・五・七・七)
百人一首を思い浮かべると、分かりやすいと思います♪
・言葉の数:五・七・五・七・・七の三十一音
例:春過ぎて 夏来にけらし 白妙の 衣干すてふ 天の香具山(小倉百人一首・持統天皇作)
●狂歌
さて、狂歌という文字からどのようなイメージを想像するでしょうか。
狂歌は社会風刺や皮肉、滑稽(こっけい:面白い姿)をテーマにした短歌のことです。
短歌なので、リズムは、5字、7字、5字、7字、7字の31文字です。
・言葉の数:五・七・五・七・七の三十一音
例:名月を とってくれろと 泣く子かな それにつけても 金の欲しさよ
上の句(五・七・五)は、美しい月を見て取ってほしいと泣く我が子を表現しています。
その情景を一気に吹き飛ばしてしまう下の句(七・七)の破壊力が凄いですね♪
俳句や川柳で有名な人物
俳句や川柳で有名になった人物も多くいます。
中には、日本の紙幣に描かれた人物もいますよ☆
江戸時代の三大俳人
松尾芭蕉(まつお ばしょう)
俳句を詠みながら全国を行脚した、現代でも人気の俳人です。
松尾芭蕉の旅行記「奥の細道」は、教科書にも登場しますね☆
・有名な句:夏草や 兵どもが 夢のあと
小林一茶(こばやし いっさ)
江戸時代の有名な俳人で、生涯に2万以上もの句を詠んでいます。
小林一茶の俳諧俳文集「おらが春」を読まれた方も多いのではないでしょうか。
・有名な句:すずめの子 そこのけそこのけ お馬が通る
与謝蕪村(よさ ぶそん)
松尾芭蕉、小林一茶に並ぶ、江戸時代を代表する俳人です。
蕪村は、画家としても有名で、色彩や情景が思い浮かぶような句を詠んでいます。
・有名な句:菜の花や 月は東に 日は西に
明治の著名な二人
正岡 子規(まさおか しき)
現代でも人気の俳人、歌人の正岡子規は、若くして肺結核で亡くなりました。
雅号(がごう:画家や文筆家などが使う本名以外の名前)は、ホトトギスです。
結核で血を吐く自分の姿を、血を吐くまで鳴くといわれるホトトギスに重ねたと言われています。
・代表的な句:柿くへば 鐘が鳴るなり 法隆寺
夏目 漱石(なつめ そうせき)
「吾輩は猫である」「坊っちゃん」「こころ」など、現代でも人気のある小説を書いた夏目漱石。
漱石は、大学の予備校で正岡子規と出会ったことがきっかけとなり、俳句を詠むようになりました。
落語が趣味で、変わり者と呼ばれた漱石が詠む俳句は、洒落がきいた句風と言われています。
・代表的な句:叩かれて 昼の蚊を吐く 木魚かな
俳句や川柳が出てくるアニメやドラマ
百人一首をテーマにしたマンガ「ちはやふる」は、ドラマや映画にもなりましたね。
この作品以外にも、俳句や川柳が出てくる作品があります。
少しだけ例をご紹介しますね♪
●いいね!光源氏くん(マンガ/ドラマ)
2020年にNHKでドラマ化された作品で、光源氏が現代にタイムスリップして生活するお話です。
作中の光源氏は、美味しいものを食べたときや感動したときに、ところ構わず和歌を詠みます。
光源氏が生きた平安時代は、和歌を詠むのは日常のことだったのですね。
●川柳少女(マンガ/アニメ)
川柳少女は、「週刊少年マガジン」(講談社刊)で連載している四コママンガです。
ヒロインは、話すのは苦手だけど、川柳なら言いたいことがスラスラと思い浮かぶ、雪白七々子ちゃん。
原作の第一句で、授業中、先生に当てられて答えた句が以下の句です。
「実言えば 五問前から 意味不明」
先生の「いや 五問前に言って!!」というセリフに、つい笑ってしまいます。
日本人は言葉遊びが大好き
日本では、古くから言葉を用いた遊びや、習慣が根付いています。
美しい景色や心に浮かんだ想いなどを、限られた文字数の中で表現する文化。
これを機に、ぜひ一句作って、言葉遊びを楽しんでみてくださいね♪