伝統工芸には様々な種類があり、その技法もまた実に多様です!
その技法の中の1つに、彫金と呼ばれるものがあります。
今回はこの彫金について、基本となる知識やその技法の種類を分かりやすくご紹介します♪
これを知れば、彫金が施されたものを色んな所で見つけることが出来るようになりますよ。
彫金とは?
彫金は、金属工芸の1種になります。また、彫金の金は金属の金を意味し、貴金属の金ではありません。
そんな金属工芸の中でも、彫金の技法は非常に古くから行われており、渡来人により古墳時代の終わり頃に日本へと伝わりました。
また、鎌倉時代になると武士が台頭すると刀や鎧の装飾に用いられるようになり、江戸時代では太平の世が訪れ実用品からより観賞用のものに使われるようになりました。
この様に時代を経るに連れ、彫金はより様々な品に使われ、装飾もより多様になっていったのです!
それで、彫金は金属工芸の技法で代表的な3つの内の1つで、それぞれの技法は以下のようになっています♪
- 彫金:鏨で金属を彫ったり、切り取ったり、裏から叩いたり、また他の金属をはめたりして装飾する技法
- 鍛金:金属を熱し、金槌で打つことで成形する技法
- 鋳金:金属を溶かし型に流し込んだ後、冷やして固めることで成形する技法
なお、彫金は元々の意味としては金属を彫るからこその彫金なのですが、ロストワックス製法を含んだりと広くアクセサリーを作る技法という意味で使われることもあります。
なので、単に彫金と言っても伝統工芸かどうかは分かりません…
ちなみに、ロストワックス製法は最終的に金属を溶かして成形するので、本来は鋳造方法の1種です!
技法の代表例
伝統的な彫金の技法には様々なものがあり、例えば代表的なものに以下のものがあります!
【毛彫り】
線上に彫る線彫りの中で最も基本的な彫り方で、鋭く先が尖った鏨で細かい線を彫る技法です。
また、深く彫ることで線の太さを調節することも出来ます。
【蹴り彫り】
先端が四角形で扁平な鏨を使って彫る技法で、蹴るように打ち込みながら彫っていきます。
彫った後が楔を連ねたように、三角形の点が連続した形になるのが特徴です。
【片切り彫り】
刃先が四角で扁平な鏨を使い彫っていき、まるで毛筆を使って描いたような表現ができる技法になります。
【魚々子(ななこ)】
先端が小さな丸くなっている鏨を使い裏から打つことで、表に魚の卵が並んだようなつぶつぶを出す技法。
文様の周囲に使われることが多く、寺社や仏具などに使われる金物に多く見られます。
【象嵌(ぞうがん)】
金属の表面を削り、そこに他の金属をはめ込んで模様を描く技法です。また、削り方は布目上に彫ったり、線上に彫ったり、窪みを彫ったりと色々あります。
ちなみに、この象嵌がポルトガルから日本へと持ち込まれた時、金銀が使われ高価だったので代用品として蒔絵が発展しました!
和彫りと洋彫り
彫金は簡単に言うと金属を彫って装飾する技法ですから、世界の色んな所で見ることができます。
例えば、日本伝統の彫り方である和彫りと西洋の彫り方である洋彫りというのがあるのです!
この2つは、よく彫られる事物や文様、仕上がりなんかも違うのですが、明確なのが彫り方になります。
まず、和彫りの方は鏨を使い金槌で叩きながら手前に彫り進めていきます。それに対し、洋彫りは彫る時に金槌は使わず手の力で奥に彫り進めていくのです。
なので、和彫りのほうが深く力強く、洋彫りのほうがより繊細な文様の物が多くなります♪
ただ、主な技法としての違いであって、中には似た様な彫り方をする場合もあります。
そのため、それぞれの技法が育った文化の違いから来る表現方法の個性に注目することも大事です。
彫金を探してみよう!
彫金は金属工芸における技法の1つなので、様々な伝統工芸品に使われています。彫金が主体で分かりやすい装飾品や花器などの美術工芸品だけでなく、他にも釘隠しといった建築金具など様々に使われるのです!
そのため、探そうと思えば様々なところで彫金の技法を用いられたものを探し出すことが出来ます♪
ただし、彫金と呼ばれるものの全てが伝統工芸品とは言えません…
例えばロストワックス製法など、そもそも彫金と言えるか微妙なものなど色々あるのです。
そのため、それが伝統工芸品であるかは、どの様な伝統を受け継ぐ品なのかを確認しなければなりません!
しかし、そうやって伝統を知りそこに込められたこだわりを知ると、特に目立たない片隅にもそんな金具が使われているの発見した時、すごく感動できますよ。