夏の食べ物といえば色々浮かびますが、奮発して鰻なんてのもいいですよね♪
土用の丑の日辺りになると、近所のスーパーなんかで鰻のセールをやっていたりします。
しかし、何故こんな暑い日に鰻なのでしょうか?もっと涼やかな食べ物でもいいような気が…
そこで、今回は土用の丑の日に鰻を食べる理由と、その日の由来となった考え方の秘密に迫ります。
しかも、その考え方は、なんと我々の身近にある様々な事柄にも関係しているんです!
土用の由来は?
中国の古い思想に、五行思想というのがあります。または、五行説とも言われます。
これは、万物を「木・火・土・金・水」という5つの要素の在り方で説明しようとするものです。ここで言う在り方とは、単に物質的な存在だけでなく、状態や変化の仕方も指します。
それで、季節もまたこの5つで解釈し、以下のように季節を当てはめました!
・木:「春」植物が芽生え成長していく季節
・火:「夏」火のような灼熱の季節
・金:「秋」金属の凝縮し固まることから想像し、収穫の季節を表します。
・水:「冬」水の静かで冷え切った様から想像しました。
・土:「季節の変わり目」植物などが芽吹く様子などから、何かを生み出したり形作るエネルギーを持ち、それを維持する性質があるとされ、変容することの象徴になりました。
こういった古代の考え方は、理論的に考えるのではなく、まずは感覚的に感じたほうが分かりやすいです。
つまり、五行では季節が「土→木→土→火→土→金→土→水」のように巡ります♪
そして、この土の気が盛んな変わり目の時期のことを、昔は土旺用事(どおうようじ)と言っていました。これが土用の由来です!
また、土旺用事が略され土用になった説と土旺が鈍って土用になった説の2つの説があります。
土用の期間は?
土用は季節の変わり目なので、1年間に実は4回もあります!
最近ではもっぱら夏の土用ばかり言うので、土用と言えば夏になってしまっただけなんです。
それで土用の期間は、まず365日を五行で等分してから、4つに振り分けるので約18日間と計算できます♪
実際は太陽と地球の位置関係で期間が決められているので、年により微妙に期間の日数などが異なります。夏の土用の場合は19日間になることが多いです。
また、期間は新しい季節が始まる「立春、立夏、立秋、立冬」の前日までの約18日間です!
これらは、二十四節気と呼ばれる暦の一部になります。詳しくは下の記事を参考にしてみてください。
丑の日の由来は?
干支と言えば、十二支だけを思い浮かべる人が多いかも知れませんが、実際は十干と十二支を指します。
十干は、「甲、乙、丙、丁、戊、己、庚、辛、壬、癸」の10種類になります♪
これら十干と十二支を組み合わせて、昔は年、日にち、時間、方位などの順序を表していました。
例えば、1ヶ月で十干は3巡するので、1月が3つに分けられます。これが、上旬、中旬、下旬の由来です。
また、年や日にちを表す場合、甲子、乙丑、丙寅のように、それぞれ1つずつずらしながら組み合わせます。このとき、十干と十二支の組み合わせは60通りになります。
つまり、年数に当てはめると60年で一巡します。なので、数えで61歳の時に生まれた年と同じ干支に還り、還暦となるのです!
このように干支は色んな所で見られて、土用の丑の日も期間中の干支で表すと丑のつく日を指します♪
そこで、2018年の土用の丑の日を干支で表すと、癸丑(みずのとうし)と乙丑(きのとうし)となります。また、これを日にちで言うと7月20日と8月1日です。
つまり、同じ丑の日でも年によって違う干支になっていることがあるんです!
また、夏の土用の期間は19日程あるので、年によっては丑の日が2日あります。この場合、先の方を一の丑、後のを二の丑と呼びます。
なぜ鰻?
夏の土用の丑の日に食べると夏バテしないとされるのは、実は「う」の付く食べ物なら何でも構いません!
鰻が特に広まったのは、江戸時代に発明家の平賀源内や狂歌師の大田南畝が宣伝した説などがありますが、はっきりしたことは分かっていません…
そもそも、なぜ丑の日に「う」のつく食べ物で夏バテをしないとされたのかも謎のままなんです。
しかし、1つ興味深い説があって、五行の考えである相克と十二支による暦が関係しているというのです。
昔は、旧暦の11月が子月、12月が丑月、1月が寅月のように表されていました。
それで、夏の土用が含まれる7月頃、旧暦でいうと6月は未月になります♪
次に、相克とは五行の考え方で、対立する2つの内一方が相手を打ち消すことを意味します。例えば、木気は土気に、水気は火気に克ちます。
後に、この考え方が十二支にも取り入れられるようになりました。
そして、未月と対立している関係にあるのは丑月になります。アナログ時計で、6時の真反対が12時になっているのを思い浮かべると分かりやすいです。
つまり、丑に関係するものを取り入れることで、対立関係の未月に打ち勝つ意味が込められているのです!
季節の名前を大切に!
土用の丑の日の由来を考えてみると、実に奥深い昔の人の思想が秘められているのが分かります。
それ程までに、昔の人は季節を様々に感じ、深く考え意味づけしていたのです!
例えば、月の名前の呼び方に日本独自のものがありますが、それにも様々な意味があります。
それについては、下記の記事で紹介していますので参考にしてみてください。
このように、様々な所に季節を表す言葉はありますので、これはと思ったらぜひ一度調べてみてください。そこから昔の人が感じ、これからも大切にしたい季節の思いを見出すことができますよ♪