金閣寺は京都のお寺巡りにおいて外せない場所です。
世界中から多くの人がその美しさを目にしようと訪れます。
金箔が輝いていて、とても目を惹きます。
でも、その歴史について詳しく知っている人は少ないです。
本記事では金閣寺の歴史をわかりやすく説明します。
世界に誇る建物だからこそ、その歴史について知っておきましょう。
金閣寺について知ろう
金閣寺といえばあの金色に輝く建物が有名です。
でもそもそも金閣寺という名称が正確なものではありません。
知らなかったあなたのためにその名前の由来について、歴史を辿って説明します。
<実は正式名称じゃない??>
あなたが思っている金色の建物の正式名称は舎利殿(しゃりでん)と言います。
そしてこの舎利殿はお寺の中の一つの建物に過ぎません。
お寺全体の正式名称は鹿苑寺(ろくおんじ)といいます。
元々の創設者である足利義満の亡くなった後の名前(法号)にちなんで名付けられました。
この鹿苑寺の舎利殿の金箔がある豪華な作りを見て「金閣」とニックネームを付けました。
いつしかこの「金閣」の名がどんどん有名になります。
なかなか金色の派手な建物が珍しかったからです。
そして金閣のある寺を呼びやすく「金閣寺」と寺全体を人々が通称で呼ぶようになりました。
よって、あの金色の建物を正式な名前で呼ぶならば、鹿苑寺の舎利殿となります。
たしかに金閣寺の呼び名の方が覚えやすいですね^^
呼びやすさを重視し、本記事の以下では舎利殿を金閣と呼びます。
<国宝そして世界遺産に>
鹿苑寺は昔からとても貴重な建物でした。
金閣は明治時代から特定保護建造物に指定され、昭和初期には国宝に指定されています。
室町時代からの建物様式が文化的にも高い価値があったからです。
また金閣の手前にある庭園も同じように高い価値があります。
そのため庭園は大正時代から特別な史跡、名勝として指定されています。
名勝というのは芸術や鑑賞においてとても高い価値がある土地のことです。
そして平成に入り、古都京都の文化財が世界遺産に登録されました。
京都が日本の伝統的な様式の建物や文化財を多く持っていることが登録の主な理由です。
京都のいくつかの建物がこの世界遺産の構成要素になっています。
この金閣のある鹿苑寺もこの構成要素の一つです。
実は火災にあっている!?
昭和初期には国宝に指定されていますが、この指定は解除されています。
つまり、金閣は国宝ではありません。
世界遺産の構成要素ではあるが、国宝ではないのです。
この原因は金閣が出くわした火災にあります。
まずは金閣で起きた2度の火災について説明します。
<応仁の乱>
まず1度目は応仁の乱に巻き込まれて金閣以外の鹿苑寺の建物が焼失しました。
この乱は日本史の授業で必ず触れるほどの室町時代の大きな内乱です。
簡単に言えば、権力争いと将軍の後継者争いによる全国規模の戦いです。
この戦いは続きに続いて、約11年間も戦い続けます。
そんな大きな戦いなので、京都の多くの建物が巻き込まれました。
その後、江戸時代に金閣を含む鹿苑寺全体を大修理しました。
<金閣寺放火事件>
そして2度目の火災が昭和に起こった金閣寺放火事件です。
とても物騒な名前の事件です。
林という鹿苑寺の修行僧が放火しました。
庭や金閣を含む建物が焼失するという大きな事件でした。
犯行動機は寺での不遇や上手くいかないことに対する反抗とのことです。
多くの人々が訪れる金閣に妬みがあったとも言われています。
金閣に放火したあと自殺を図りますが、失敗して反抗が明らかになりました。
金閣内にある貴重な文化財や芸術品も全て焼失してしまいました。
その後、金閣を含む鹿苑寺の焼失してしまった建物はすぐに一から再建されました。
三階建てである金閣はこの再建前は3階のみに金箔が残っていました。
しかし、再建後は2階及び3階の屋内と外壁も金色の姿になっています。
これは昔の図面の解釈がそれぞれ異なったことが原因です。
私達が知っている金閣は再建後の姿です。
またこの金閣の放火、再建によって歴史的価値が低下し、国宝指定が解除されました。
昔の図面を参考にしたとはいえ、新しい建物と認識されたのです。
<昭和大修復>
昭和の再建から約10年後に金閣の金箔が剥がれ、下地に塗られている黒漆も傷んででしまいました。
この先も綺麗な姿を保つために大修復作業が計画されました。
金箔をより強固な5倍の厚みにして、漆も国産最高級のものを使用しました。
よって費用が莫大なものとなり、当時で7億4千万円の総工費がかかりました。
昔の物価面を考慮すると最低でも3倍以上の金額になります。
あの美しい輝きは膨大な費用と、昭和の職人のおかげで見ることが出来ているのです。
美しい姿を見に行こう!
ここまで鹿苑寺と金閣の歴史について説明しました。
国宝の名は逃したものの、世界遺産の一部には登録されています。
ぜひ一度はその美しさを見に行きましょう。
見に行く際は本記事を参考に、正式名称や再建についてのうんちくを披露してくださいね^^