インフルエンザやノロウイルスに加え、新型コロナウイルスという病が加わった2020年。
新年こそは良い年にしたい、無病息災で過ごしたいと願う方も多いでしょう。
そこで、元日の朝に行うとっておきの行事、若水をご紹介いたします!
若水とは?
若水(わかみず)は、元旦の朝一番に汲む水のことをいいます。
若水のほか、初水(はつみず)や、朝水(あさみず)、福水(ふくみず)と呼ぶ地域もあります。
一年の邪気を払うとされ、歳神様へお供えしたり、お正月の料理などに使います。
若水の歴史
もともとは、立春の日に、宮中の主水司と呼ばれる役職の人が、天皇に献上した水でした。
主水司はしゅすいし、または、もいとりのつかさと読みます。
昔は立春にお正月を祝っていました。
立春の日の朝一番に、主水司が井戸から水を汲み、それを天皇に奉じた水が若水です。
現在の暦では、立春は節分の翌日頃(2月3日または4日)なので、若水はお正月(元旦)に汲みます。ここでのポイント…というか注意点は、元日ではなく、元旦に汲む事です!
「元旦と元日は違うの?」という方は、以下の記事を参考になさってくださいねなさってくださいね♪
若水汲みは年男の仕事
若水汲みは基本的に年男(としおとこ)が行います。
干支の年男ではなく、正月の行事を取り仕切る一家の家長のことです。
年男は、元旦の朝早くに遠くまで水を汲みに行きますが、これを若水迎えといいます。
人に会っても口をきくのはNGという決まりもあり、寒さも厳しい時期なので大変な役目ですね。
基本的には男性の仕事ですが、西日本では女性が行う地域もあります。
一文字追加したら若水が別の意味に?
若水に「変」という漢字がつくと、読み方も意味も変わります。
変若水と書いて、おちみず(をちみず)と読みます。
知らないと、おちみずとは読めない漢字ですね。
飲むと若返る、若返りの水といわれ、日本神話の月読命(ツクヨミ)が持つとされています。
山形県には、変若水の湯という温泉もありますので、興味がある方はぜひ訪れてみて下さい。
若水の使い方
若水は、まず歳神様にお供えし、その後、口をすすいで清めます。
あとは、お雑煮やお正月料理などに使ったり、お茶を入れたりといった使い方をします。
若水で顔を洗う方もいますよ♪
若水と福茶について
若水を沸かして淹れたお茶を、福茶(ふくちゃ)といいます。
大福茶(だいふくちゃ)、皇服茶(こうふくちゃ)と呼ばれることもあります。
大福が入ったお茶、大福を添えたお茶、抹茶の大福は別物です(笑)
福茶は、お正月のほか、大みそかや節分に振る舞うこともあるお茶で、縁起の良いお茶です。
湯のみに、結んだ昆布、梅干しなどを入れ、若水を沸かし、白湯や煎茶を入れて注ぎます。
黒豆や大豆、かち栗や山椒を入れる方もいますよ☆
お茶屋さんでも大福茶として販売しているお店があり、梅干しや昆布などが入っています。
縁起の良い、梅昆布茶ですね♪
梅干しは歳を重ねる、昆布は喜ぶ、豆はまめに(元気に)働く、といった意味があります。
皇服茶授与で福茶をいただく
京都の六波羅蜜寺では、お正月の三が日に、皇服茶(大福茶)授与が行われます。
無病息災を祈願するお茶で、各日二千人に配られます。
六波羅蜜寺は空也上人が開基したお寺で、病にかかった村上天皇もこのお寺のお茶で治療しました。
また、疫病(伝染病)を退散させるお札も授与しています。
皇服茶と悪病除の護符で、コロナウイルス撃退を祈願してみてはいかがでしょう?
→ 六波羅蜜寺
若水は水道水でもいいの?
現代は、天然水が自販機やコンビニで販売される時代。
水道の蛇口に浄水器が付いている家庭も少なくありません。
むしろ井戸水を汲みに行くほうが難しい状況です。
若水は水道水でも良いとされていますが、蛇口にしめ飾りをしたり、塩でお清めする方もいるようです。
元日の朝は、水道水にも感謝の心を込めて、きれいな容器に汲んでみましょう。
現代の若水迎えの方法は?
井戸水が少なくなった現代でも、湧水や名水は日本全国にあります。
100円ショップで売られているウォーターボトルなどを持参して、元旦の朝一番に汲みに行きましょう。
心の中で、お水を頂戴しますと感謝を述べ、静かに汲み入れて持ち帰ります。
氷点下では、足場が凍っていることもあるので、転倒には十分気をつけてくださいね。
身近な名水の場所は、環境省のWebサイトで確認することができますよ☆
ピロリ菌に注意!
自然の湧水や井戸水には、ピロリ菌がいることがあります。
昔は、湧水や井戸水などを用いて生活をしていた家が多くありました。
ピロリ菌が胃の中に寄生すると、胃腸の調子が悪くなったり胃の病の原因になってしまうことも。
筆者の母も、先日胃の不快感を訴え、検査の結果ピロリ菌が見つかりました。
名水が汲める場所では、飲用に際し注意書きがないか、チェックしてくださいね。
水は万物に欠かせない大切なもの
若水に限らず、水は人間だけでなく、動物も植物もなくては生きていけない大切なものです。
そして、神社仏閣を訪れる際は、まず水で手や口を清める、神聖なものでもあります。
日本は湧水や井戸水のほか、水道からもキレイな水が出る、ありがたい国。
今年の元旦は、ぜひ朝一番にお水に感謝して飲んでみましょう♪