お葬式は、まだ自分にはあまり関係ないと考える人は少なくありません。
しかし、身内や親しい人の死はいつ訪れるかわかりません。
突然のことで、驚き慌ててしまうでしょう。
その時には、動揺して物事を冷静に判断することができないことも多いです。
冷静に物事が判断できる平時のうちに、お葬式について考えることはとても大事なこと。
ここでは、葬儀で一般的に執り行われている火葬について、流れやマナーを解説します。
いざという時に少しでも慌てないよう、ポイントを押さえておきましょう。
火葬とは
火葬とはご遺体を焼却して、残ったお骨を葬ることをいいます。
日本では火葬の歴史は古く、縄文時代の遺跡からも火葬した骨が出土された記録もあるようです。
昔は身分の高い貴族だけが執り行っていました。
しかし、時代とともに設備が整い、衛生面も随分と改善されています。
現代ではほぼ全てのお葬式で火葬が執り行われるようになりました。
日本では墓地、埋葬等に関する法律があります。
そのため、医師が死亡を確認してから24時間経過しないと火葬ができないとされています。
これは万が一蘇生するかもしれないという可能性を0にする必要があるからです。
現代ではあまり考えられませんよね。
しかし、医療技術が進んでいなかった時代、死亡と判断された人がその後蘇生することがあったそうです。
人は死亡後、24時間を過ぎるとご遺体に紫斑が出ます。
昔はその紫斑で死亡と判定したこともあったようです。
火葬を行うための手続き
火葬を行うためには火葬許可申請を出し、火葬許可証の交付を受けなければなりません。
火葬許可申請書は死亡届と同時に各自治体に提出します。
これらの手続きは葬儀社が代行されることが多いです。
葬儀の手配の時に相談してみるといいでしょう。
火葬の流れ
一般的な流れとしては、火葬は葬儀・告別式の後に火葬場に移動して執り行われます。
葬儀場と火葬場が離れていることが多いので、故人を乗せた霊柩車のあとに遺族が乗った車が続きます。
火葬する前に、葬儀社の担当者や僧侶の指示に従い、故人と最後のお別れをします。
火葬が終わるまでに1~2時間程度かかるので、最近ではこの時間を食事に充てることもあります。また、この間に遺族は参列者にたいして、故人が生前お世話になったことへの感謝の言葉を伝えます。
火葬が終わったら、骨上げの儀式を執り行います。
骨上げの儀式は、僧侶などの指示により、主に故人と関わりが深かった遺族が参列します。
2人1組になって、ひとつの骨を太い箸で挟んで骨壺に収めていきます。
最後に喪主がのどぼとけの骨を骨壺に収めます。
火葬場の担当者が骨壺を持ち帰れるように準備して、火葬済印の入った火葬許可証を喪主に渡します。
そして、火葬場から葬儀場に戻ります。
その後、葬儀場などでお骨になった故人を供養する還骨法要の儀式が執り行われます。最近では葬儀当日に初七日法要と精進落としまで済ませることが多いですね。
本来、精進落としは四十九日法要後に行われるものです。しかし、昨今は多忙な人も多く、さらに遠方からの参列もあります。火葬後に終わらせることが一般化しているようです。
火葬のマナー
それでは火葬でのマナーについて説明していきます。
・服装
男性の場合は上下黒のスーツが一般的です。白いワイシャツにネクタイや靴、靴下などの小物は黒で統一します。時計などは華美にならないよう、できればつけずに参列することが望ましいです。
女性は黒無地のワンピースやスーツ、アンサンブルが基本です。ストッキングや靴、ハンドバッグも黒のものを選びます。厳寒期はタイツをはくこともありますが、できればストッキングで参列することが望ましいです。真珠の一連のネックレスなら装着してもよいとされます。ですが、男性同様、アクセサリー類は控えることをおすすめします。
子どもは学校の制服で構いません。制服がない場合は白シャツに黒のズボンやスカートを合わせます。靴はできれば白や黒など、あまり色が入っていないものを選びましょう。音が鳴る靴は履かせないようにしてくださいね。
・喪主のあいさつ
葬儀場から火葬場に向かう前には喪主が参列者に対して出棺のあいさつをします。
事前に葬儀社との打ち合わせで、あいさつする旨は知らされます。
長いスピーチでなくていいので、できればその時に慌てないように考えておくようにしましょう。
・棺に入れてもいいもの
葬儀社から事前に説明がありますが、棺には入れていいものと入れられないものがあります。
基本的に入れられるものは可燃物のみです。故人が生前着用していた洋服や手紙、お花などを一緒に入れることが多いです。
革やビニール製のものは溶けて、ご遺骨に傷がつく可能性があるので入れられません。
金属製のものは燃えないのでこちらも棺には入れられません。
故人が愛用していたからと革製の靴やメガネは棺には入れられないので注意しましょう。
また、生きている人の写真を棺に入れるのは縁起が悪いとされています。思い出の写真はくれぐれもご注意してくださいね。
直葬について
最近、直葬というのが注目されています。
こちらは火葬のみとなります。
これまで一般的とされてきた通夜や葬儀・告別式を行いません。祭壇を飾ったり、参列者を招くこともしないので、葬儀全体の費用を抑えられます。
そのため、利用者が増えているようです。
最近の葬儀の傾向としては、少ない人数で執り行われることが増えています。
故人が高齢で、葬儀に呼べる親戚や知人が少ないことが多いようなので、以前のような規模の大きい葬儀の必要がなくなったということが理由のようです。
また、現代の考え方として、身内だけで静かに葬儀を執り行い、静かに送りたいということがあります。
最近の葬儀社は直葬を取り扱うところも増えてきています。
故人と遺族の意思があれば、事前に調べておくといいですね。
火葬マナーを知って故人を偲び送り出しましょう。
ここまで火葬についてお伝えしてきました。
お葬式や火葬というと、とても難しいイメージを持たれる人もいるでしょう。
また、お葬式に対する考え方は時代とともに随分と変わってきました。
しかし、大切な人に対する思いは今も昔も変わりません。
故人を思う気持ちがあれば、流れやマナーはそれほど難しいものではありません。
故人との最後のお別れをしっかりするためにも、マナーや流れのポイントをチェックしてみてくださいね。