春分の日や秋分の日を真ん中に、前後3日を合わせた1週間がお彼岸の時期として知られています。
でも、何故その時期に墓参りをするのでしょうか?
そもそも、お彼岸は日本独特のものだとされています。他の仏教を信仰する国には無い風習なのです!
今回は、まず春分の日の意味や決め方から、お彼岸の成り立ちまで分かりやすくご紹介します。
そして、そこから垣間見える日本の宗教事情も実に興味深いですよ。
春分の日って何の日?
春分の日の春分は、中国の二十四節気という季節の分け方に由来しています。他に冬至や夏至、秋分などもこれが由来です。
それで、春分の日がどんな日かは、その前の節気である啓蟄を知ると分かり易いです。この啓蟄(けいちつ)は、大地が温まって虫たちが冬眠から目覚め、穴から出てくる節気になります。
つまり、その次の春分の日は、多くの生き物たちが目覚めた後のまさに春本番となるのです!
また、春分の日は「自然をたたえ、生物をいつくしむ」ことを目的とした国民の祝日で、そんな生き物たちを大切にしようという想いが込められているのです♪
そして、春分の日でもう1つ重要なのが春分の日の決め方です。これは秋分の日なども同じです。
まず、地球を留め置き、地球を中心に内包した大きな球を考えます。これを天球と呼びます。この天球は地球から見た空を表し、そこに星々を張り付けると地球との位置関係を考えやすくなるのです。
次に、地球は太陽の周りを約1年で1周します。なので、常に太陽と地球の位置関係は変わっていきます。
そして、逆に地球を止め、天球上で太陽を追っていくと、1年で1周する軌跡が描けます。これが黄道です。
最後に、地球上の赤道をそのまま延長し天球に貼り付けます。これが天の赤道です。
それで、この黄道と天の赤道は天球上の2点で交わります。この2つが春分点と秋分点になります!
そして、春分点に太陽がある日が春分の日、秋分点にあると秋分の日になるのです♪
また、太陽は厳密に365日で1周しません。そのズレが春分の日などが年によって異なる原因になります。
春分の日の仏教的な意味
春分の日について天文学的な解説をしましたが、それが仏教的な意味を知る上で重要になります。
まず、春分の日は太陽が天の赤道直上にあり、北にも南にも寄っていないことになります。
なので、この日はほぼ真東から太陽がのぼり、ほぼ真西に太陽が沈みます。
実際は、春分の日のある一時だけ春分点に地球が来るので、ちょっとだけズレているんです…。これは秋分の日も同様です。
また、昼と夜の時間が同じになると言われますが、これもズレています。
ともかく、この最も真西に沈むということが仏教として重要な意味を持ちます!
仏教には、西方浄土という、西に浄土という阿弥陀如来が治める世界があるという考え方です。
なので、この日は浄土が最も近くになり、仏様に祈ることで浄土に行けるのだと考えられました。
また、本来彼岸とは彼の岸という意味で、向こう側の世界、極楽浄土を意味する仏教用語になります。ちなみに、彼岸に対して現世のことは此岸と呼ばれます。これは、此の岸、此方の岸といったところです。
それから、昼と夜がほぼ同じになるこの日は、仏教の中道という考え方に合致していて良いともされます。中道とは、“何者にも囚われない” “偏った立場を取らない”といった意味です。
実は神道も関係してる?
さて、春分の日とその仏教的な意味までご紹介しましたが、何かしっくりきていないことはありませんか?
まだ、浄土への願いと墓参りが繋がりと、彼岸が日本独特の風習なのかが謎として残っているのです。この2つの謎を解く鍵が、日本古来の信仰である神道だという説があります。
古来より春分の日には、豊穣を願う神道のお祭りがありました。秋分の日は収穫を祝うお祭りになります。この辺りは、春分の日の趣旨に繋がるところがありますね。
さらに、神道には祖先崇拝という考え方があり、自然神々だけではなく先祖の霊も祀られています。これは神社の儀式で読まれる祝詞が、昔の人に伝わるように古い日本語が使われるところなどに見て取れます。
そして、その神道の祭りと仏教の考え方が合わさり、今の彼岸の形になっていったというのです!
実際、仏教と神道が交わる日本では、死にまつわるものは仏教由来の考え方が色濃くなっています。例えば極楽浄土や輪廻転生、そもそも葬式もほとんど仏式で行われています。
このように、神道と仏教の合わさった結果の1つとして、お彼岸は考えられているのです。
いちばん大事なものは?
春分の日の墓参りの由来には、このように少しばかり複雑な宗教事情が垣間見え、きっちり理解するのは難しいかと思います。
なので、そのような場合は、あまり難しく考えず、墓参りの根本を考えると良いでしょう。
つまり、先祖の方々を敬い感謝するということが墓参りの根本で一番大事なことです。
いつまでも感謝の気持ちを忘れずにお墓参りに行きましょう!